Internet Explorer: 父と娘のマジトーク「お父さん、前よりキモさがアップしているよ」

2015年10月8日木曜日

父と娘のマジトーク「お父さん、前よりキモさがアップしているよ」


重版決定! 父の日を控え特別企画:父と娘のマジトーク「お父さん、前よりキモさがアップしているよ」 

書籍『お父さんがキモい理由を説明するね』の発売から1年、このたび重版が決まったのを機に、中3になった娘と改めて話し合ってみました。締め付けと放任主義どちらの子育てがいいのか、中3女子にスマホは必要なのか、考える力はなぜ大切か。そして父は結局キモいままなのか……?




女子中学生と父がテーマに沿って深く話し合う「父と娘のマジトーク」連載が書籍化されてから1年が過ぎました。おかげさまで販売は順調で、このたびうれしいことに重版が決定しました。

現在中学3年生になった娘(サオリ:仮名)は、塾、部活、受験勉強と毎日忙しい日々を過ごしています。”進路”という大きな人生の節目にいる娘と話し合ったテーマは、改めて「親子関係」についてです。

ay_ph00.jpg今回は週末のジョナサンで、朝食を取りながら改めて娘とじっくり話し合いました




締めつけ型の親 VS 放任主義の親

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父: サオリはお父さんの元で約15年間生きてきたわけだが、お前がお父さんを評価するとして、オレはよい父親だったか?
娘: 真顔で尋ねられると答えにくいな……。まず、親って大きく2パターンあると思うんだ。「厳しく締めつけてくる親」と「自由を与えて放任する親」と。
父: サオリの中で、どっちが良いとか悪いとかあるの?
娘: いや、良いとか悪いとかじゃなくて、どっちも理由があってのことだよね。厳しくする親はしつけとかマナーを大事にして、放任する親は自分で考える力を身につけさせたいとか、考えがあるはずだよね。
父: 自由を与えられすぎて、調子に乗る子供もいるし、厳しくされすぎて反発する子供もいるしな。で、お父さんはどっちだろう。
娘: 自由を与えて放任するほうだね。
父: そうか?
娘: そうだよ。あたしが小さい頃から、あれをやれ、これをするなってお父さんから命令された記憶がない。
父: 意図的にそうしていたからね。サオリだって、厳しくされるよりも自由があるほうがいいだろ。
娘: 命令されるのは嫌い。こっちの言い分を聞かずに一方的に動かそうとされると、むかっとくる。お母さんはガミガミうるさい派で細かく指示してくるタイプだよね。お父さんはその逆。だからバランスは取れていて、これはこれでいいんじゃないかとも思ってる。
父: 別に、夫婦で役割分担を決めているわけじゃないが、結果的にそうなっているね。

子どもにも事情がある

娘: 3カ月位前にさ、「今夜は外食に行くから、17時に全員自宅に集合!」って朝に決めたことがあったでしょ。その日は部活だったんだけど、ミーティングが長引いて17:30を過ぎてもまだ学校だった。
父: 覚えているよ。
娘: 大幅遅刻していたのは分かっていたけど、副部長って立場上、後輩たちを放ったらかして帰るわけにもいかない。でもお母さんは「まだなの?」、「17時って約束でしょ」ってじゃんじゃんメールを寄こしてきたの。
※ 娘は父のお古のフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)を所有しています。

父: うんうん。
娘: こっちも事情があるんだけどなぁって焦っていたら、お父さんが「べつに遊び呆けているわけではなく、部活で忙しいのだから出発が遅れたってかまわん。部活の用事に集中しなさい」ってお母さんをおさめてくれた。事情を察して、あたしの立場を尊重してくれたって思って、うれしかったんだ。
父: ナイスプレーだった?
娘: ナイスだったね。

意図的に自由にさせていた理由

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娘: さっき、「意図的に自由にさせていた」って言っていたけど、どういうこと?
父: その質問の答えはちょっと置いておいて……サオリは小学生時代の自分を振り返って、どんな子供だった?
娘: 何も考えずに本能で動いていたかな。やりたいことをやりまくって、ノーテンキに生きていた。ただ、勉強や宿題はきちんとやったよ。夏休みの宿題は計画的にこなしたから、8月末に慌てるなんてこともなかった。それに関してはキチンとした子供だったと思う。
父: うむ、当時から自己管理能力はあったと思う。お父さんも「勉強しろ、宿題忘れるな」とか一切言う必要がなかったくらいだ。中学校に入ってからは、何か変わったりしたの?
娘: ものすごく考えるようになった。理由は、1年のクラスには知っている人が一人もいなかったから。小学校時代の友達のほぼ全員が別の中学校に進学しちゃったからね。新しいクラスメイトたちとどう話を合わせて、仲良くなるかってことばかり考えていたかな。だから一学期は緊張してた。
父: 考える習慣がついたキッカケということだな。
d;"> 娘: 考えざるをえない環境に置かれたからね。
父: お父さんはサオリに”考える力”を身につけてほしいから、なるべく命令や指示をしないよう心がけているんだ。それが「意図的な自由」ってこと。
娘: 確かに、習い事だって自由に選ばせてくれたし、飽きたから辞めるってなったときも引き止めなかった。でも、自由にさせ過ぎると、子供が甘えん坊になってしまう気もする。
父: 盲目的な甘やかしにならないよう、注意してはいるつもりだぞ。

渋谷駅前ハチ公待ち合わせ事件

父: 「渋谷駅前ハチ公待ち合わせ事件」を覚えているか?
娘: 覚えてるよ! あたしが小6のとき、お父さんが「渋谷でお寿司をごちそうするからハチ公前に来い」って誘った事件ね。一人で電車に乗って、降りたことのない駅で待ち合わせるっていうから、むちゃくちゃ焦ったよ。
ay_ph08.jpg渋谷で待ち合わせと言えばハチ公前広場
父: 方向音痴のお前にあえて地図を渡さず、一人で来れるかなっていう実験でもあったの。川口駅から京浜東北線に乗り、赤羽駅で埼京線に乗り換えて渋谷駅で下車。あとは駅員さんに訊いてハチ公前に16時に来い、とだけ伝えたね。
娘: なのに、なぜか池袋駅で降りて、逆方向の山手線に乗ってしまった。田端駅を過ぎたあたりで、「なんかおかしい」って思って、西日暮里駅でようやく「逆だ!」って気づいたの。西日暮里駅で駅員さんや路行く人に尋ねて、右往左往しながら渋谷駅についた。駅員さんはぶっきらぼうだったけど、電車待ちしている人たちがすごく親切に道案内してくれたよ。
父: 大変だったな(笑)。
娘: ハチ公前がどこかも分からなくて、反対側の南改札から出てしまって、さらに駅前を30分くらいウロウロしたよ……。
父: ハチ公前に現れたのは、予定を2時間過ぎた18時だった。疲れ果ててゾンビのようにヨロヨロ歩いてくる姿を見て、笑ったぞ。
娘: 後でお母さんに話したら、「小6の女の子に無茶させすぎ」ってすごく怒られていたよね。
父: だから保険としてお母さんの携帯電話を渡しておいたの。いつでも電話できる安心感があれば、なんとかなるって思っていたから。

中3女子にスマホが不要な理由

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娘: 自由にさせるって言うわりに、ときどき急に頑固になるとき、あるよね。
父: どんなときだ。
娘: スマホが欲しいってお願いしたとき。
父: あぁ、そうだった。学校の子達の何割くらいが持っている?
娘: だいたい7割かな。ほとんどがiPhone6か6 Plusだよ。お父さんのよりも画面が大きい。
父: オレですらまだ5Sユーザーだというのに、生意気な……(笑)。お父さんは、中学3年生がスマホを持つべきではないって考えている。
娘: 理由は分かってるよ。受験生がそういうモノを持っちゃうと、それに夢中になって勉強が疎かになって、現実から逃げる道具にしちゃう危険性が高いから。今の私がスマホを持つことで良いことってほとんどなくて、マイナスのほうが大きいから……でしょう?
父: その通り。今のお前には益よりも害が多いと判断してのことだ。既読スルーしちゃマズイって焦って返信したり、見ても見なくてもいい動画にうつつを抜かすのが関の山。スマホにお前が支配されるのが目に見えている。
娘: あたしもそんな気がするんだよね。夢中になってしまう自信があるもん(笑)。
父: 金がもったいないとか、人生にスマホが不要というわけじゃない。タイミングの問題でしかないんだから、もうしばらく待ちなさい。

好きなことをして幸せになってほしい

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娘: ”考える力”を身につけてほしいから、なるべく命令や指示をしないって話に戻るけど、お父さんはなぜそんなに”考える力”にこだわるの?
父: すべての親は、我が子の幸せを願うものだ。親は親の考える”幸せの定義”に則って子供を育てるだろ。
娘: うん。良かれと思って厳しくしたり、逆に甘えさせたり、物を与えたり、与えなかったり。お父さんにとっては、「幸せ=考える力がある」ってこと?
父: 考える力がある状態が幸せって意味ではなく、幸せになるための条件って感じかな。サオリは、お父さんが「大金を稼ぐ」のと「好きなことをする」のどっちに重きを置いて生きていると思う?
娘: (間髪入れず)そりゃ「好きなことをする」だよ。やりたい仕事をしているって様子は私にも伝わってくる。いつも嬉しそうじゃん。あと、そんなにカネカネって言わないし。
父: そう。仕事が面白いか、楽しめるかってことが幸せに大きく関わるって思っている。「好きなことをして幸せになる」には、自発的に考える頭脳が不可欠だとお父さんは信じているんだ。

強靭な”考える力”が備われば、きっと幸せになれる

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父: お父さんは、サオリに好きなことに打ち込んでほしい。対象はなんだっていい。リッチになれるかどうか、お父さんがそれを気に入るかどうかは関係ない。お前さえ幸せであれば、地球の反対側で生きてくれていてもかまわない。
娘: そこまで思うの?
父: 好きなことを仕事にするとか、その道で突き抜けた存在に登りつめるためには、めちゃめちゃ悩んで考えて、迷いつつも意思決定して、勇気を出して行動して、批判されたり失敗してもくじけず挑戦しつづけなきゃならんってこと、想像つかない? 少なくとも、人任せな受け身や指示待ちじゃぜったいに実現しないよね。
娘: 思う。それはすごく同意できる。
父: それには、ムッキムキに強靭な「考える力」が必要だと思うわけ。単純な知識量とかスキルとは違うし、IQでもない。
娘: 行動する力とか、自分を信じる力とか……?
父: そうね。柔軟な思考力、豊かな創造性、人の真逆を突く斬新さ、常識を疑うモノの見方、素直かつ柔軟に学ぶ謙虚な心、そこまでやるかと思わせる破天荒さ……とかがそれに当たるかなあ。考える力以外の要素も混じってきているけど(笑)。
娘: 最近思うのは、なんでもいいから経験しまくるって大事ってこと。未経験のことをしたら、新しい興味が見つかるかもしれない。いろいろ経験するのって、やりたいことを見つける近道だと思うんだ。やりもせずに面白くないって決めつけちゃダメ。食わず嫌いはよくないよね。
父: 考えも行動もせず、「毎日がつまらない。面白くない」ってボヤく人がいたらどう思う?
娘: なんでもかんでも人に訊かずに、自分で考えろ。自分で行動して勝手に見つけろって思う。お父さんって、あたしが小学生低学年のころから何か質問するたびに、「自分で考えてみた?」とか「サオリの考えを聞かせて」が口癖だったよね。当時から“考える力”を意識していたの?
父: うん。考える人間に育てるには、サオリにどう接すればいいのか、何を与えて、何は与えてはいけないのか、甘やかすタイミングなのか、突き放すべきなのか……そういうことは四六時中考えてきた。今後も、どうすればサオリが幸せになるかを考えて行動する。そこにブレはないよ。
娘: ……そこまで考えてくれていたってことはうれしいな。理由が分かれば、どんなに厳しくされてもナットクできるって思う。

今改めて問う! 父はいまだにキモいのか

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父: 最後に、重版がかかった記念すべきこの良き日に改めて尋ねるが、お父さんはまだキモいの?
娘: これまでのトークの流れをぶち壊すようで悪いけど、あいかわらずキモいままだよ。
父: 「お父さんがキモい理由を説明するね」が公開されたのは1年半前だけど、当時と比較して改善が見られたとか、何かしら変化はあると思うんだが。
娘: どっちかというと、以前よりキモさはアップしているかな。
父: (な、なんだと……)
娘: サオリタンとかサオリンって気色悪い呼び方はしなくなった代わりに、不気味さが増している。1カ月くらい前、頼んでもいないのにあたしを塾に迎えに来て、外で30分くらいジーッと待っていたでしょ。先生たちが「窓の外から身動きせずに中を覗いている無表情の中年男性がいて怖い」ってざわついてたのよ。「……それ、ウチの父です」って恥をかいたんだからね(怒)。
父: 塾なんだから、やってくる大人は塾生の父兄ってのは明白だろ。それを怖いだなんて失礼な。
娘: 行動がしつこいんだって。風呂上がりに素っ裸で歩きまわるのだって変わってない。中学3年の女子がすぐそばにいるというのに。
父: す、すまん。GWを境に急に気温が上がって、つい横着をしてしまった。今後は腰にタオルを巻くから。
娘: 腰もイヤだよ。ムチムチのお腹がキモいよ。脱衣所で着替えてから出てきて。
父: えー、湯上がり直後は汗をかいて服が濡れちゃう……。
娘: あたしはそうしているよ? それとね、ちょうど昨日、学校でMちゃん(友人)に「サオリのお父さんってさ……その……なんていうか、アレだよね……」って言われたのよ。なんか申し訳なくなって、あたしが謝っちゃったよ。
父: 「アレ=カッコいい、クール、ダンディ」という解釈はできんのか。
娘: できんわ! 公開授業にやってきて、授業中に娘と目が合うたびに笑顔で小刻みに手を振ってくるなんて、いい加減おかしいって気がついてよっ。そのことが”アレ”なの。男子にも見られてるし……。あー、もーヤダ。

キモいけどいい父親?

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父: さっきから言わせておけば、ずいぶんと好き勝手言ってくれるじゃないか。
娘: お父さんもなんか言い返す? いいよ、あたしの悪い生活習慣や改めるべき点を指摘してよ。
父: いいだろう、この際だからハッキリ言わせてもらうぞ。サオリは……サオリは……えっと……
娘: もっと父とベタベタしろとかはナシだよ。
父: な、何もない……。お前には注文が何ひとつない。今のままのサオリでいてほしい。
娘: (勝ち誇ったような笑みを浮かべて)はい。ただね、ひとつフォローしとくと、キモさは別にして、しつけとか教育面でお父さんに文句はないの。そういう意味で直してほしいことってないしね。あたしが言うのもナンだけど、いい父親だって思ってる。認めるのがなんだか悔しいんだけどさ(笑)。
父: マジで? それは初めて聞いたよ。すげーうれしい。どうか忘れないでほしい、お父さんはありのままのサオリタンを愛しているということを。
娘: だーかーら、キ・モ・い!!!!!

以上、まもなく15歳になる中学3年女子と44歳の父の「親子関係」トークでした。

トーク終盤に「キモさがアップしている」と言い放ち、ステキだった話の流れを木っ端みじんにしてくれたKYな娘ではありますが、学業、部活、受験勉強と毎日一生懸命に生きています。
いつの時代も、親は子の幸せを切に願うもの。子の幸せのために親ができることは何か? 何を伝え、何を話し合うべきか? この書籍が、愛する貴方のお子様の幸せ構築の一助となりますように。

ay_nkym04.jpg『お父さんがキモい理由を説明するね』




















[父と娘の週末トーク]


























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