Internet Explorer: 娘と父のマジトーク(その3) 「モンスターズ・ユニバーシティを見て、小説家になりたいと思った」

2015年10月8日木曜日

娘と父のマジトーク(その3) 「モンスターズ・ユニバーシティを見て、小説家になりたいと思った」


父と娘の週末トーク:娘と父のマジトーク(その3) 「モンスターズ・ユニバーシティを見て、小説家になりたいと思った」 

「やりたいこともできずに死んでいく大人がいる。私はそんな大人にはなりたくない」。娘とのマジトーク、第3回は夢や目標について話し合ってみました。



娘がクラスメイトから告白されたのをキッカケに、娘と父が割と本気で話し合うこの企画、第3回です。前回の「お父さんがキモい理由を説明するね」には、怒涛(どとう)のアクセスをいただきました。ソーシャルメディアやまとめサイトの反応を見て、いかに自分がキモい父であるかを思い知らされた次第です(笑)。

今回はちょっとマジメに、娘の夢と目標について話し合ってみました。ちなみに場所は、夕方のコメダ(コメダ珈琲)です。
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小説家になりたい

父: サオリって、夢とか目標ある?
娘: うん、あるよ。
父: 今も画家なの? 保育園と小学生のときは、ずっと絵が好きで画家になりたいって言ってたよね。卒業&卒園アルバムにはそう書いてあったのを覚えてるよ。
娘: 確かに絵は好きだよ。だから部活も美術だし。でも今は違うんだ。
父: 何なの?
娘: 小説家になりたい。
父: 小説家? そういえば、今年の夏から趣味で書き始めてるね。いま何作目を書いているんだっけ?
娘: 2作目を書いてる。1作目はお父さんも読んでくれた『秘密のカギと謎の男』ってミステリーで、今は違う作品を書いているとこ。だいたい、半分書き終えた。
父: 1作目のは130ページくらいあったよね。正直、期待せずに読んだけど、伏線やオチがしっかりしてて、面白かったよ。今度のは?
娘: 今回もミステリー。半分書き上げて70ページだから、全部で140ページくらいになりそう。
父: それも読ませてね。それにしても、小説家って夢があるとは知らなかった。
娘: 本当は、小学2年生から興味あったの。その時書いた作品もあるんだよ。『不思議なアメ玉』ってタイトルの。
父: それは初耳だ。そんな昔に書いてたの?
娘: 思い付きでね。不思議なアメ玉を偶然食べた兄妹が、両親と心が入れ替わってしまうって話を自分で考えたの。でも、それからすぐに絵や工作が好きになったから、物語作りはやめたんだ。
父: で、中学生になってから、小説への興味が復活したわけだ。
娘: そんな感じ。
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shk_naka02.jpg娘が夏に描き上げた手作りの処女作『秘密のカギと謎の男』。カバーの裏面には、ご丁寧にISBNコードが(笑)


きっかけは、モンスターズ・ユニバーシティ

父: そもそも、どうして小説を書きたくなったの? キッカケは?
娘: 何だろ? もともと読書が好きでいろんな児童小説を読んでたら、だんだん自分でもやってみたいって思ったんじゃないかな。自分の書いたものを友達に読んでもらうと、うれしいしね。
父: 1作目は、家族以外に読ませたの?
娘: クラスメイトに回し読みされて、けっこう評判だったよ。担任の先生にも読んでもらった。想像力豊かだなって褒められたよ。
父: そりゃすごいね。でもさ、小説を読む人は多いけど、自分で書いてみるって人はごくまれだぞ。もっと、別のキッカケがあったから、行動に移してみたんじゃない?
娘: (しばらく考えて)ほら、7月にお父さんと2人で『モンスターズ・ユニバーシティ』っていう映画を見に行って、すごく感動したじゃない? そのあと、お父さんがネットで見た「ピクサーが教えてくれる!物語を書くための22のルール」(NAVERまとめ)を私に読ませてくれたんだよ。
父: ああ、覚えてるよ。22のルールだよね。ピクサーの中の人がどうやってシナリオを練っているかが垣間見えたよね。
娘: そうそう、他にも1つの脚本を書き上げるのに2年もかけるとか、脚本の中でもお笑い担当とか感動担当とか、チームで役割を分担して脚本を作り上げていくんだって知って、すっごく驚いたんだ。それで私も「映画を見たり楽しむ側の人間」じゃなくて、「物語を作って、お客さんを感動させる側の人間」になりたいって思ったの。そうだ、それがキッカケだ。
父: なるほど、納得したよ。

娘: それに、お父さんは私に『手紙屋 蛍雪篇~私の受験勉強を変えた十通の手紙~』って小説も読ませてくれたじゃない。あれもよかったよ。
父: あの小説も、分かりやすくていい内容だったね。大学受験がテーマだから、中1のサオリにはまだ早いかなって迷ったんだが。
娘: そんなことなかった。分からない漢字もほとんどなかったし。お話自体も感動的だったけど、謎解きもあって、最後までドキドキしたよ。
父: 一緒に見た映画とか、勧めた小説がキッカケになったということは、お父さんも少しは役に立ったということかな。

やりたいこともできずに死んでいく大人がいる

父: 小説って、どこで、どんなペースで書いているの?
娘: 学校の休み時間。あと、塾の休憩時間にもちょこちょこと。家でも息抜きに書いてる。
父: 勉強の合間に書いてるんだ? ちなみに、2作目のテーマは何?
娘: 「勇気と臆病」だよ。
父: 何か……すごく仰々(ぎょうぎょう)しいというか、大人っぽいテーマを選んだね。しかし、何で?
娘: これを思い付いたのは、お父さんが読ませてくれた偉人の名言集がキッカケなんだ。
父: あー、8月くらいだっけ? そういうこともあったね。覚えていてくれたんだ。
娘: うん、すごく心に残ってる言葉がいくつかある。
  • チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ(本田宗一郎)
  • 財産を失うのは、少し失うこと。名誉を失うのは、多くを失うこと。勇気を失うのは、全てを失うこと(ゲーテ)
  • 人生はどちらかです。勇気をもって挑むか、棒に振るか(ヘレン・ケラー)
  • 何かを始めるのは、怖いことではない。怖いのは、何も始めようとしないことだ(マイケル・ジョーダン)
  • 人の言うことは気にするな。こうすれば、ああ言われるだろう……こんなくだらない感情のせいで、どれだけ多くの人が、やりたいこともできずに、死んでいくのだろう(ジョン・レノン)

父: 全部「勇気」に関する言葉だね。
娘: 私、人の目がすごく気になる性格でさ。人と違うことをしたら、友達にどう思われるだろうとか、チャレンジしたいけど、失敗したらどうしようって臆病になるときがあるの。だから「やりたいこともできすに死んでいく大人がいる」って言葉が、なんだか怖くって。
父: うーん、なるほどね……大半の人が、やりたいことをやれずに生涯を終えるって現実はあるよね。
娘: 怖がって何もできない人間に、自分がなってしまったらやだなーって、ゾッとした。
父: で、「勇気と臆病」をテーマに選んだわけか。
娘: うん。1作目より、いい作品にする自信はあるよ。

自分の考えとか想いを、人に伝えたいって気持ちが強い

娘: 実は3作目もすでに考えてて、テーマと内容はもう決まってるの。
父: へぇぇ、まだ2作目の執筆途中なのに?
娘: アイデアがどんどん湧いてくるんだ。
父: どんな作品?
娘: テーマはね、「人間の生きる意味」。
父: 13歳のテーマにしては重すぎるわ……太宰治かお前は(笑)。普通、女子中学生ってもっとこう……身近なテーマを選びそうだよね。家族愛とか友情とか。サオリ、いつからそんな文学少女になったの?
娘: いやー……人間って、何のために生きているんだろう? 生きる意味って何だろうって最近よく考えるんだよね。で、自分なりにこうなんじゃないかなって、考えがまとまってきてて、それをストーリーにしてみたいんだ。
父: サオリなりの仮説がある、と?
娘: そう。学校でクラスメイトや先生とか観察しながら、自分の考えが正しいかどうか確かめてるとこ。
父: それは興味深いな。ぜひ、サオリの考えを聞いてみたいんだけど……作品を読むまでの楽しみにとっておくよ。でも、よくそんなに書きたいことが次々に思い付くね?
娘: 何でだろうね? うまく説明できないんだけど、自分の考えとか想いを、人に伝えたいって気持ちが強いんだ。
父: ほう、なら小説家って限定しなくても、漫画家とか映画監督とかって可能性もアリかもしれないね? それに、戦場カメラマンや画家だって、伝えたいっていう願いを写真や絵で表現しようとしているという意味では、小説家と根っこは同じじゃない?
娘: そうだね。でも、今は文章で伝えたいんだ。

勉強が趣味に役立つのは、すばらしいこと

父: 誰か参考にしてるというか、お手本的な作家さんはいるの?
娘: 富安陽子さんって児童文学作家が好きなんだ。この人の本、たぶん全部読んだと思う。私の部屋の本棚にいっぱいあるよ。
父: トミヤスヨーコ? 児童文学書は読んだことないから、その人は知らないな……。
娘: シノダ!シリーズと、やまんばあさんシリーズがお気に入りだよ。文章とか、文体とか、マネしてるんだ。単語の使い方や表現も勉強になる。
父: いいんじゃない? 好きな作家を模倣するのから入っていくのって。でもさ、サオリは覚えてないだろうけど、小学校に入ったばかりのころは、ひらがなもカタカナも全然知らない状態で、自分の名前も読めなくて、国語力が人よりずっと遅れてたんだよ。お母さんが「サオリは他の子より、知能が劣っているかも……」って本気で心配してたんだから。
娘: 覚えてない(笑)。でも今は小説が好きだから、国語で勉強した論説文の書き方とか、逆接とかの技法を小説に利用しているよ。
父: うむ、勉強が趣味に役立つのは、すばらしいことだ。
娘: そりゃまー、勉強第一だもんね。
父: そうなん? プロの小説家になりたいから、進学しないって手もなくない? スポーツだと、高卒プロ入りってあるじゃない。
娘: だって今はただの趣味だし。そういう道もあればいいなって思うくらい。それに、小説家はなりたくてなれるものじゃないでしょ? 賞とか受賞したりしなきゃいけない世界だろうし。
父: じゃあ、進学する?
娘: そりゃ、するよ。
父: 最低、これだけは必要だろって学歴のラインはどの辺?
娘: 最終学歴で中卒はあり得ないよね……。高卒が最低ラインな気がするけど、個人的には、大学は卒業しておくべきなんじゃないかなって思う。
父: じゃあ、大学には行きたい?
娘: 行きたい。何を勉強するかは、まだ決められないけど。でも、何を勉強するにせよ、小説にも活かせるって思う。
shk_naka03.jpg娘の部屋の本棚。富安陽子氏の作品がいっぱい


1万9000いいね!は記録樹立だよ

父: ところで、サオリは文章で人に伝えたいってさっき言ったけど、先週のこの連載記事、空前のヒットになったんだよ。
娘: (全く興味なさげな様子で)ふーん。
父: 公開から約1週間で100万PV以上もあったし、Facebookのいいね!も1万9000回以上押されたんだぞ。ツイートも4000以上あって、すごく話題になったんだよ。
娘: よく分からないけど、100万PVってすごいの? FacebookとかTwitterは使ったことないからピンと来ない。
父: お前何も分かってないな……。お父さんが言いたいのは、われわれ2人の会話を記事にしたものが、たった数日で100万人の人にブワ~っと広がって、読まれたってことなんだ。大勢の目にとまったってことで、それって嬉しくない?
娘: そう言われてみれば、確かにそうかも。
父: 本には簡単に置き換えられないけどさ、仮に本が100万部売れたら、ベストセラーだよ? それに匹敵する人数に読まれたんだよ?
娘: ちょっと、うれしいね。ぜんぜん実感がないけど。
父: その代わり、お父さん=超キモい人ってイメージが定着しちゃったけどね……。
娘: そりゃ、自業自得でしょ(笑)

夏場から、娘がキッチンで一心不乱にノートに小説を執筆している姿をたびたび見かけていました。夢中になりすぎて深夜になり、母親から「小説に夢中になるのもいいけど、いいかげんに寝なさい!」と言われていたのも、思い出しました。まさか、小説が将来の目標になっているとは、夢にも思いませんでした。
しかも一緒に見た映画や何気なく勧めたWebの記事などが、彼女に大きなインパクトをもたらしていることも、知りませんでした。何が子どもの興味に火を付けるかは分からないものです。
いずれにしても、夢中になる対象があることは、喜ばしいことです。私自身は、彼女の助けになる情報を収集することで、情熱を後押ししてあげることに専念しようと思います。
 次回は「人間の弱さ」について話してみます。



[父と娘の週末トーク]




















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