父と娘の週末トーク:娘と父のマジトーク(その5)「お父さん、勉強もちゃんとやるからさあ、芸能界入らせてよう」
おとなしい性格の娘なので、芸能界への興味は一切ないだろうと予想していました。それが……。父として、もしも我が娘が「芸能界に入りたい!」と言ってきたらどう対応すればいいのでしょう?
10代の子なら、多かれ少なかれ芸能界という華やかな世界に憧れる時期があるものです。これまで、芸能界に一切興味を示さなかった娘が、意外にも「声優をやってみたい」と言ったり、(稼いだお金の)予想外の使い道を提案してくれたり、驚きがいくつもありました。
まず、お父さんに相談する
父: サオリって、芸能界に興味ある?
娘: タレントとか、アイドルみたいな?
父: そうそう。AKB48みたいな歌って踊ったりするのとか、ドラマで演技したりする女の子とか。
娘: これまで、なりたいと思ったことはないけど……面白そうだね。
父: チャンスがあったら、やってみたい?
娘: 私だったら、ドラマで演技したいな。『リーガル・ハイ』のガッキーみたいに。絶対、面白いと思う。
父: じゃあもし、ドラマの女優にスカウトされたら、どうする?
娘: うーん、どうしよう。どっちかというと、やりたい気持ちが強いかな。
父: 進学するか、女優の道を選ぶか、2つに1つなら?
娘: え、どっちかを諦めるって状況なら……すぐには決められない。
父: 断ってもいいけど、2度とそんなチャンスはないかもよ。具体的にどうする?
娘: お父さんとお母さんに相談する。
父: 自分1人では決めない?
娘: そりゃあ、大きすぎる問題だもん。
父: どういうスタンスで相談するの? 許可を求めるのか、判断を委ねるのか。
娘: まずは……意見を求めるかな。「こんな誘いがあったんだけど、お父さん(お母さん)ならどう思う?」みたいな感じで。
父: フラットな感じってことね。
娘: そうなるね。
学業か、タレント活動か?
父: 相談を持ちかけられたお父さんは、どんな反応をするだろうね?
娘: お父さんは、きっと「自分で決めなさい」って言うんじゃないかな。内心は反対していても、最終的に私の考えを尊重してくれるって思う。
父: そうかな?
娘: そうだよ。お父さんは私に何かを強制するタイプじゃないもん。
父: そうか(よく分かってるな……)。さっき、「内心は反対していても」って言ったけど、なぜお父さんは反対すると思うの? 反対の理由って何?
娘: いろいろ、心配するんじゃない? 娘が芸能界に入るんだよ?
父: お父さん、大喜びするかもよ? 「いや~、うちの娘がタレント事務所にスカウトされましてねー、はっはっは。第二のあまちゃん誕生かな、まいったなこりゃ。サインが欲しければ、特別に頼んであげてもいいっすよ」とか、親戚中に威張るかもしれないじゃない?
娘: んなことするわけないでしょ(笑)。もちろん、最初のリアクションでは喜んでくれそう。でも、進学を犠牲にするとなると、もしタレントとして売れなかった場合、「ただの中卒のアホ」になっちゃう。
父: お父さんの心配は、「学歴」だと?
娘: じゃないの? 私だって、タレントを目指してた、何の取り柄もない中卒者にはなりたくない。
父: お父さんも、その考え方に同意するね。じゃあ、学校に通いながらタレント活動できるとしたらどう? 学業を犠牲にしなくていいんだよ。
娘: そのパターン? なら、やりたい気持ちが一気に上がるよ! きっと、相談するときも、グイグイいく。
父: 「ねえねえ、いいでしょ? 勉強もちゃんとやるからさあ、タレントさせてよう」みたいなトーンで相談する?
娘: する!
人から嫉妬されるかも
父: 学業が犠牲にならない場合、お父さんの心配はなくなるのかな?
娘: うーん、ちゃんと勉強と両立できるの? って心配はするだろうけど、最終的には、「いい経験になるだろうし、チャンスだからやってみなさい」って応援してくれると信じてる。
父: サオリ自身は、心配事はない? タレントと学業を両立するってなると、普通の学生とは比べものにならないほ多忙になるよね。部活もできないし、友達と気軽に遊びに行くってこともできなくなるだろう。
娘: それは仕方ない。でも、それに代わる経験ができるよね。
父: じゃあ、何の不安もない?
娘: いや、そもそも私、演技できないし、人前で緊張したり、せりふをちゃんと言えたりするかなって心配はするよ。
父: 撮影現場とかスタジオで、大勢の大人に囲まれて仕事できるのかは気になるよね。仕事面以外では?
娘: (ちょっと考え込んで)学校の人から嫉妬されるかな?
父: 「サオリって、ちょっとテレビ出てるからって、調子こいてんじゃねえ?」みたいに思われるとか?
娘: そう。それも心配だな。考え過ぎなのかもしれないけど。
金持ちになってしまったら?
父: ちょっと話を変えてさ、もしタレントで成功してお金持ちになったらどうしよう?
娘: タレントって、どれくらいお金が稼げるものなの?
父: 人気によるから、金額は千差万別だろうね。でも、売れっ子になりでもしたら、まじめにバイトするのがバカバカしくなるお金が、お前の銀行口座に振り込まれることになるだろうね。思わず、ゼロの数をかぞえてしまうような。
娘: 何も欲しいモノが思い付かない……。あ、柴犬は飼いたい。
父: 柴犬とか言ってるレベルじゃねーぞ。ヴィトンとかエルメスみたいなブランドバッグとか、ダイヤモンドの指輪とか、高級な洋服(ブランド名が何も思い付かない)が、値段を気にせず買えるようになったら? 外食だってし放題。フェラーリだって手が届く……みたいな状況。
娘: どれも興味ないよー。柴犬がいれば、それでいい。
父: じゃあ、貯まったお金どうするのよ。
娘: うちの住宅ローンに使ってよ。
父: (え?)じゅ、住宅ローン?
娘: だって、まず家族のために使うのが先でしょう。
父: お前、優しいな……。そんな特殊なこと言う中学生、どこにもおらんぞ。
娘: そんなことないよ! 子どもだったら、きっと同じようにするに決まってる。
父: いやいや、急に金遣いが荒くなって、高級なモノを買い漁って、生活レベルを上げ過ぎちゃう人が大半でしょ。
娘: そう? 家族を助けるためにお金を使うのが、当然のことだと私は思う。
父: あ! ……お前、あれだろ。読者を意識して、そーゆー優等生っぽい回答を選んでいるだろ!? 「キモいお父さんの記事」がヒットしたからって、調子乗ってんじゃねーぞ。
娘: そんなわけないでしょ。デブのころの写真が載せられて、こっちは恥ずかしいくらいだよ。
父: じゃあ、将来大金を手にすることがあったら、支払いよろしくね。
声優に興味がある
娘: いま、急に思い付いたんだけどね、声優をやってみたいな。アイドルとか女優とかより、声優に興味ある。
父: へええ、そうなんだ。でも、何で?
娘: うまく説明できないな……。たぶん、私がアニメをよく見ているから? 「あのアニメの◯◯◯ってキャラ、私の声なんだよ」ってほうが、ちょっと自慢できていいな(※娘は『進撃の巨人』の大ファン)。
父: 女優は自分の姿も見てもらえて、目立つことができるのに?
娘: 自分が目立つより、意外に知られていないとこで関わっているほうが、私の性格にあってそうな気がする。
父: サオリは、人前で目立つのはあまり好きではなさげだよね。
娘: うん、何が何でも! って気持ちはない。だって、この話だって、「もし、スカウトされたら」って仮定で話してるでしょ? 自分から芸能界に入るために行動するつもりはないもん。
父: オーディションとか受けてみたいって思わない?
娘: 全然思わない。だって、学校が楽しから、今はそれで十分だもん。
父: じゃあ、お父さんの住宅ローンは……。
娘: ごめんね、支払えないや(笑)。
娘は割とおとなしい性格なので、芸能界への興味は一切ないだろうと予想していました。ところが実は声優に興味があったり、学業と両立させられるならタレントをやってみたかったりと、予想外な発見がありました。積極的に行動はしないとは話していましたが、今後どんなキッカケで興味に火が付くかは分かりません。
家のローンの肩代わりをするという一言には、衝撃を受けました。彼女の思いやりには感謝しつつも、どこまで本心なのか……。読者の視線を意識した発言かも、という疑念も拭い切れないではないですが、ここは素直に受け止めておこうと思います。実現する可能性はほぼゼロですが(笑)。
次回は、「英語と留学」について話してみます。
[父と娘の週末トーク]
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