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2013年6月27日木曜日

日本のクリエイティヴは、死ぬのか?:ある映像制作会社の挑戦

 日本のクリエイティヴは、死ぬのか?:ある映像制作会社の挑戦


マン ガ、アニメ、 ゲーム──圧倒的な存在感を示してきた日本人のイマジネーション。その勢いに「陰り」がささやかれるようになった。メディアの王たるテレビ局は視聴率下落 にあえぎ、ゲーム機の販売台数は伸び悩む。クリエイティヴの花形たる広告業界には、大手企業の経営不振が暗い影を落としている。クリエイターはこの危機を どう打開するのか。世界に名高い創造力は、この国の行く末を、明るく照らしてはくれないのか?

TEXT BY SHIN ASADA A.K.A. ASSASSIN @ TAWAMURE Inc.
PHOTOGRAPHS BY YOICHI ONODA




プラハを本拠地とする映像制作会社eallin。 そのアジア拠点であるイアリン・ジャパンは、パペットアニメの老舗チェコと手描きアニメの雄たる日本という2つの国がルーツの、ハイブリッドカンパニー だ。東京のスタッフはいまのところ日本人だけだが、外国人もウェルカム。「いつもいい出会いを求めています」とは取締役プロデューサー笠島久嗣(写真右) の弁。


業界に風穴を開ける「チェコ帰りの日本人」

日 本のクリエイターたちは随分と疲れている。制作費の単価下落に歯止めがきかない。つまり質より量を求められる。「魅せる」より「こなす」ことに終始す る。だから肉体的にも精神的にも追い詰められる。

クリエイティヴを元気にしたい。元気な会社に答えを求めたい。その 声に応えてくれるのは、日本のテレビ業界に新風を吹き込む小さなディレクターズ・カンパ ニーだ。チェコで創業した映像制作会社eallin、その日本支部であるイアリン・ジャパンは今年で創業4年目を迎える。フジテレビの人気番組「ピカルの 定理」のオープニングアニメーションは、その斬新な映像感覚が評判を呼んだ。手がけたのは紛れもなく日本人。しかし並の日本人ではない。伝統的なパペット アニメーションで名を馳せるチェコで活動し、新たな感覚を手に入れた日本人クリエイターだ。彼らの仕事は、いわば“凱旋公演”である。

「ど ういう会社が日本にあれば面白いか……っていうところから始めています」

創業の経緯を話す笠島久嗣は、希有な切り口 をもつイアリン・ジャパンの取締役、そしてプロデューサーだ。いわゆる気鋭のクリエイター。しかしおごりはみじ んも感じさせない。楽観的な言葉は口にしない。だからこそ、彼の言葉には耳を傾ける価値がある。





多彩な作風が魅力のeallin。特に東京のス タッフは「ビジネスとアートのほどよいバランス」がもち味。予算も時間も限られたなかで、しかも時差と格闘しつつ現実解として高い作家性を提供する。その ため、地理的デメリットを背負う日本人アニメーターは手描きの効率化が必須であり、直接画面に描画することができる液晶ペンタブレット「Cintiq 24HD」は、その強い味方となる。画面に絵筆を走らせてくれたのは、アニメーションに定評のある看板ディレクター牧野惇。「思い通りの線が直接描ける直 感的な操作と、デジタル化によって得られるトライアンドエラーの効率化は期待以上です」。


笠 島久嗣はなぜチェコへ渡ったか

彼は学生時代にCG作品で映像コンテストのグランプリを受賞し、主催したテレ ビ局、それも東京のキー局へ鳴り物入りで入社した。経歴は誰の目にも華やかに 映る。しかし問題はその先にあった。企業の壁がもたらす閉塞感である。

「当時は自分のなかにCG制作を外注するとい う発想がなかったんです。得意不得意に関係なく、参考資料を漁って、ロゴのデザインやアニメーションを自己完 結でつくろうとした。昨日はシリアスなものを、今日はキュートなものを……といった具合に」

しかもテレビの消費サイ クルは短い。放送が背負う宿命だ。つくったものは流れ、流れたものは用済みになる。

「とにかく時間がかけられない。 短いと3〜4日、長くても数週間。クオリティは頭打ちになる。次第に自分のなかでいつも何かの劣化コピーをつくっていると いう感覚がだんだん強くなる。その生活が続くと、どうしても不安を感じますよね」

積み重なる閉塞感は6年で限界に達 する。新天地へ渡り深呼吸したいという欲求に突き動かされ、笠島は移住を決意した。もともと語学留学や旅行を通じてヨー ロッパにはなじみがある。特にチェコは、住んでみたいと思わせる国だ。いちばん引かれたのは「色彩」。

「美的感覚っ て、風土とか歴史とか国民性に根差している。国旗の色も、赤道直下は赤くてカラフルですよね。だけど北へ行くにつれて青みが強くなる」

と りたてて就職のあてがあるわけではない。でも不安は感じなかった。むしろ焦燥感が、そして閉塞感が勝った。自分のクリエイティヴは進歩しているだろう か。同じ環境で延々と閉じこもり、感覚を鈍らせてはいないか。

「とにかく行って、暮らして、感じるだけでも無駄じゃ ないだろうと。就職できないとしても(笑)。まずは環境を変えたい。そう思ったんです」


垣 根を越えろ!

笠島は渡欧してから就職活動を始め、創業間もないCGアニメーション制作会社eallinへの 採用を勝ち取り、そのまま3年をチェコで過ごす。首都プラハ での日々は驚きの連続だった。

「日本にいたころは、イメージが近い作品や資料を参考にして、なんとか自分でつくろう としていました。ところが向こうでは、それを創作した当人に連絡を入 れようとする。どこの国の出身で、どこに住んでいようが、『だってそいつが得意なんだから、そいつにやってもらうのがいちばんいいでしょ』という考え方。 ぼくにはまったくない発想でした。その手があったかと。でもよくよく考えれば当たり前だよなって感じで」

理想的な仕 事仲間を広く探し、予算やスケジュールが合わなければ、諦めて別の策を講じる。ごく自然な考え方だ。それを社内で賄おうとすれば、真似ごとばか りやらされるとスタッフが気落ちしかねない。盗作の疑惑も生じやすい。まず垣根を越えるというスタイルは、いいことずくめに思えてくる。

地 勢の影響もあるだろう。そもそもチェコのテレビ局は国営と民放合わせて4つしかない。国内の仕事だけでは頭打ちになるから、越境する感覚は磨いておくべ きだ。チェコに限らずヨーロッパのクリエイティヴは、会社の壁はおろか国境すらものともしない。だからクリエイターは英語を公用語とする。

「日 本人ってコミュニケーションをスキルだと思ってますよね……あっちはそうじゃない。できて当たり前。それに、クリエイターとしてお互いをリスペクトす る姿勢がある。真似ごとじゃなくて一緒に仕事をしたい。つくり手同士でコラボレーションしたい、という欲求がある」

し かし日本ではそうならない。なりにくい。垣根はいつも意識する。島国という地勢のなせる業だとすれば、問題は根深い。






パペット、手描き、CG。アナログとデジタルを有 機的にリンクさせる手法が彼らの強みだ。


段取りがない!

あ るとき笠島はディレクターとして、現地撮影スタッフを率いたミュージックヴィデオの撮影に取り組んだ。その驚くべき作法に彼は肝を冷やし、自分が日本人 であることに改めて気づく。

「普通、撮影の段取りを仕切る人(ラインプロデューサー、あるいはプロダクションマネ ジャー)って現場にいますよね。撮影の規模にもよりますが、あっちは いないことがよくあるんです。しかも段取りの資料が絵コンテくらいしかない。それでも『お前は監督だから、体ひとつで来い』って言うんです」

半 信半疑で現場に向かった笠島は、目を白黒させる。

「当日行ったら、じゃあどうするってみんながぼくに聞いてくるんで すよ!? 怒りますよね。言ってくれたら、資料つくったのに!って(笑)。ところがそう じゃない。どうする、っていうのは段取りのことじゃないんです。何をどう撮りたいか。ぼくのヴィジョンを聞いてるんですよ。で、伝えるとワーっとみんな動 き出す。プロ意識をもった人たちが、その場で判断していく」

書類で決められた通りに行動し、失敗のリスクをなくそう とする日本の現場。書類を用意せず、経験とひらめきに期待するヨーロッパの現場。その違いは明らか だ。「信頼しているんですよね。縦割りの雰囲気がない。末端まで、全員が自分の考えで動くんです。お前アレするな、コレするなっていう指示がまったく聞こ えてこない」。

チェコの現場は理想に違いない。スタッフ一人ひとりの意識が高ければ、ディレクターが用意した書類の イマジネーションを超えて、結果は何十倍にも膨らむ。

他方、日本流ならば仕事は無難にこなすことができる。だが裏を 返せば、段取りの重視はスタッフの軽視だ。指示書さえ守れるなら人は誰でもいい。そういった 発想につながりかねない。段取りよりも、まず信頼ありき。期待ありき。つまり「人ありき」がチェコ流だ。


と にかく楽しむ!

ここまで聞けば、チェコのクリエイターはとびきり優秀か、並外れて勤勉なのかもしれないと邪 推させられる。だが決してそうではない、と笠島は苦笑する。

「みんな、あんまり働きませんよ(笑)。食事に出かけて そのまま帰ってこなかったり、昼間っから酒飲んだりしてます。なのに、終わってみると完成品の質が 高い。よく見ると、前の夜すごく飲んだはずなのに、朝8時からバチっと来ていたりする。不思議ですよね。プロ意識が高いのは間違いない。でも時間で仕事を 管理しないんですね。日本でいう勤勉とはちょっと違う。やりたくてやっている。好きでやっているから結果がいいんでしょうね」

遊 びと仕事を切り分けるのが日本流なら、遊びも仕事も地続きなのがチェコ流。ことクリエイターに限り「遊びを仕事にしている」という前提があれば、地続き のほうが際限なくクオリティは上がる。逆に、拘束された時間内はめいっぱい働きます、というもっともらしい主張が、チェコではプロ意識と見なされない。職 業としての誇りを「時間」ではなく、「最終的な結果」で測ろうというのだ。

やがてチェコの首都プラハに端を発する小 さな企業が、世界の4都市にスタジオを構える大きなプロダクションへと成長する。笠島はその成長を体感できる立場 にいた。経営の責任者ルカーシュ・スカルニークは欧米やインドへ飛び市場の開拓に奔走。制作の責任者マルティン・ホボルカは引き受けたオーダーに対し本国 で制作物を仕上げる。垣根を越える。互いを信頼する。いつも楽しむ。すべてが有機的に作用し、質の高いクリエイティヴが世界を駆ける──笠島はそのさまを 眺める幸運に恵まれた、日本人の目撃者となった。







 2013年はイアリン・ジャパンにとって飛躍の年 だ。国外のプロジェクトへ積極的に取り組むべく、エースの牧野惇は海外駐在を視野に入れる。その穴を埋めるべくスタッフを拡充、事務所も移転した。日当た りがいい純白のオフィスは、きっと彼らの成功をあと押しするだろう。


ど ういう会社が日本にあれば面白いか?

笠島は3年でチェコから帰国。ごく自然な流れで「eallinのアジア拠点を立ち上げる」というアイデアに至り、日本での起業を決意する。独立採算という 甘えのないスタイルだが、プラハで意気投合した日本人留学生(手描きアニメーションを得意とする牧野惇)の存在は心強い。テレビ局時代の仲間にも声をかけ 2010年に業務を開始。以来実績を重ね、最近ではテレビ以外のジャンルへ進出するという目論見も叶った。業績の推移は極めて堅調といえる。

成功の下地には「垣根を越える」スタイルがある。日本国内の依頼を日本人ディレクターがこなす基本形に加え、海外に打診して、各国オフィスに登録済みの外 国人ディレクターと協業することも可能。逆に海外のオフィスから依頼を受け、日本人ディレクターが国外へ打って出るケースもある。結果としてテイストの豊 富さが、幅広い営業ルートを生み経営に貢献する。

理想的な響きだ。あくまで理屈のうえでは。しかし現実は厳しい。国内のプロジェクトを海外のディレクターで消化すれば利益は手元に残らない。日本人ディレ クターが競争を勝ち抜き、主体的にプロジェクトを担うことが必要だ。つまり国際基準での比較に晒されるプレッシャーは、スタッフ一人ひとりに重くのしか かってくる。

ところがイアリン・ジャパンのオフィスに重苦しいムードはない。日本人のクリエイティヴは素晴らしい。クオリティは高い。自信をもて。楽しめ。笠島の檄が スタッフを鼓舞し、支えているからだ。彼は断言する。日本人に不足しているのは才能ではなく「チャンス」のほうだと。

「映像コンテストの受賞者は毎年のように現れる。みんな優秀です。輝くものがある。でも就職してしばらくすると、なぜか“歯車”になってしまう。一方、海 外にはピカピカしたものを伸ばす仕組みがあって競争はあるけれど幸福に暮らしている。日本人をその土俵に乗っけていきたい。市場に向けて、ちゃんとパイプ を通したい」だから笠島は営業の労力を惜しまない。それも正攻法ではなく「蛇の道は蛇」を実践する。例年フランスの映像祭へ出向くが、名刺交換程度では仕 事にならないという。

「ブースを借りてテーブルを並べて、ポスター貼って……待つ。それじゃ全然ダメですね。どこの地域にも、コネクションを束でもつキーマンがいる。そういう 人が集まるパーティとか、カンファレンスを調べて、その場へ出向いて直につながる。eallinはそうしてきた」

何かを大きく変えたいわけじゃない。ただパイプを通せと彼は言う。もちろん、配管に水を流す力は必要だ。

「クリエイティヴの質以前に、日本にいるのはハンデです。北米からもヨーロッパからも遠いので、時差の壁がすごく大きい。打ち合わせは困難だし、飛行機代 は予算に響く。そのうえ英語が苦手なんて言ったら、誰も仕事なんてくれない。意識は変えていく必要があります。コミュニケーションを才能というなら、才能 は必要という言い方になる」

奇抜なアイデアよりも、まず対話。彼の下で働くクリエイターには、違った意味での覚悟が必要だ。なのに、ほかの会社を辞めて参加する者があとを絶たない。 皆が流儀に引かれてやってくる。ここに未来があると、期待している。

会社の将来像は? イアリン・ジャパンをどうしていきたい? そう問いかけると、笠島は「この場が健全に維持される」という言葉を使う。つまり、利潤追求 の姿勢をとらない。

「会社より、一人ひとりが幸福かどうかです。クリエイティヴは自己評価がとても大事。仕事をやり遂げるたびに、幸せだと自分自身で思えるかどうか……みん なで毎日ワイワイやって、とにかく楽しんでもらうしかない」

好きだから仕事に選んだ。楽しいからクオリティは上がる。それがクリエイティヴの原点。だからプロジェクトの中身にこだわる。面白みのない、稼ぐための仕 事には手を出さない。

「こういう時代ですから、いまの若い人は苦労するって覚悟はできている。大金もちになりたいとか、一発当てたいとかそういう夢じゃなくて、精神的な満足感 を重視している。そういう時代に創業した。どういう会社が日本にあれば面白いか、というところから始めた。その思いに集まってくれている。だから、その期 待には真っすぐ応えてやりたいんです」

時代は変わった。右肩上がりではなくなった。あらゆる業界が疲弊するなか、その煽りを食らってクリエイティヴは青息吐息。しかし打開策はシンプルだ。笠島 はそれを教えてくれる。

面白そうな仕事があれば人は集まる。そこに活気が生まれる。だから「パイプを通す」べきだ。革新的であれ、しのぎを削れ、などと脅す必要はない。ただ配管 をやり直す。きれいな水源から流れを引き直す。そうすれば誰でも息を吹き返す。文字通り、水を得たサカナとなる。


笠島は2回だけ「間違いない」と口にした。

イアリン・ジャパンの活躍はまぶしい。

だがその手順は奇抜だろうか。成功は偶然だろうか。誰にも真似はできないだろうか? 保証しよう。笠島久嗣は大言壮語のお調子者ではない。自分を特別では ないと言い切る、極めて冷静で自己評価の厳しい男だ。だからこそ凡庸な者をうなずかせ、だからこそ未熟な者を鼓舞する力がある。言葉の選び方にも人柄がに じみ出ていて、断定的な物言いをすることはあまりない。その彼がインタヴューで2回だけ「間違いない」と口にした。1.日本のクリエイティヴを世界が求め ている。2.住む場所としては日本が最高である。この2つは「間違いない」という。チェコ帰りの、慎重な男がそう結論している。ならば、そういうことだ。 答えは自明というわけだ。しかも、あらゆるクリエイターにとって「等しく」自明に違いない。

さて、どこから──水を引こうか。 

会議で意見を言えないあなたへ。「自分で考える力」を身につける5つの方法

 会議で意見を言えないあなたへ。「自分で考える力」を身につける5つの方法

 

「考える」こと、「自分の意見をもつ」ことの重要性が増しています。

会議で意見を 言えない人は「いない」のと同じ。

自分の考えをもたない人は、他人の考えに従うしかない。それは、他 人の人生を生きることを意味します。

鋭い意見」を言える人、「広い視点」でモノをみることの できる人との違いは、どこにあるのでしょうか。

2013/6 /22発売、TED で「It's Thinking Time 」というプレゼンをした狩野みきさんの本『世 界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業 』に、そのヒントがあります。

今日は本書か ら、「自分で考える力」を身につける5つの方法を紹介します。



1. 常に「根拠」を意識する

アメリカ人の友人から「夕飯に何を食べたい?」と尋ねられたので「餃子」と答えたところ、「なんで?」。「餃子を 食べたいことに理由も何もあるもんですか」と。
そのときはあきれましたが、気がついてみれば、欧米人、特にアメリカ人は、どんなことにも根 拠を聞くし、言ってきます。
(中略)
根拠をきちんと述べることが、説得力のある意見をもつための第一歩
P.30

自分の意見を押し 付ける人がいますが、意見を言うなら「相手を納得させる」プレゼン能力が必要。

意見を言う前に根拠を固めてお けば、自分の意見に自信をもつことができるだけでなく、説得力が増しますね。


他 人の意見を聞くときも同様に「根拠」を意識していれば、ツイッターで流れてくるデマに騙されることはないし、会議中に雰囲気で周りに同調してしまうことも なさそうです。


2.  「5W1H」でツッコミを入れる

「それ、本当に正しいの?」などと、自分でツッコミを入れてみるのが効果的です。

いちばん 手っ取り早くツッコミを入れる方法は、5W1Hにきちんと答えられるか、と自問することです。Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、 Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)、という問いに答えられるか、ということですね。ビジネスの場合にはこれに、to Whom(誰に向けて)、How much(いくらで)などを加えて、色々なバリエーションを作るとよいでしょう。
P.50

自分の意見にこの視点が なければ、他人からツッコまれるのは明らかです。

逆に、他人の意見にはこれらをツッコみましょう。

目 的は、理解を深めることです。相手を非難するためではありません。


3. 「事実」と「意見」を区別する

クリティカル・シンキングの基本として必ずおさえておかなければいけないものの1つに、「事実」 と「意見」を区別する、 というものがあります。この2つを区別することは、いわば考え抜く力の大事な基本でもあります。

「事実」はなんらか の形で証拠を示せるもの(たとえば「地球は丸い」の証拠は、丸い地球の写真など)。
一方で、「意見」は私たちが考えたことで、人それぞれ違 い得るもの(たとえば「地球はどの惑星よりも美しい」など)。
P.67

「事 実」であるかのように「意見」を言う人がいるので、人の話を聞くときには注意が必要です(笑)。

自分が発言するとき にも、区別して話すことで相手に理解してもらえるでしょう。


4. 「一人弁証法」で自分の意見を作る

「弁証法」は哲学における、一種の対話法です。弁証法には色々な種類がありますが、私がここで言う「弁 証法」とは、
  1. 「A」という考えがある
  2. それに反対する「非A」という考え方を持ちだして「A」と戦わせる
  3. 「B」という、新たなアイデアが生まれる
というプロセスを意味しています。
P.94

「A に決まってる」「Aが絶対正しい」と考えてしまうこと、ありませんか?

「非A」という考え方を持ち出すことで、視野を広げる
こ とが大切ですね。


そして面白いのは、結果的に「A」でも「非A」でもない、より良い考 え「B」が生まれるということです。


ブログで意見を述べるときなども、この「一人弁 証法」が使えそうです。


5. 未来の視点で現実的な選択肢を手に入れる

先の予測をする手順
  1. その案の「うまくいった場合」と「いかなかった場合」のシナリオを想定する
  2. それぞれのシナリオのために、何か手を打つべきことはあるか、考える
  3. その行動は実行可能なのか考える
  4. その行動は、今、しておくべきことかを考える
P.162

「想 定する」「考える」とありますが、「書く」と良いでしょう。

本書には「A4・1枚決断シート」という 方法が紹介されています。詳しくは本を読んでみてください。


どうなるかわからない未来のこと には不安がありますが、上記のように考えれば、前へ進めることができそうですね。

 

まとめ

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「自分で考える」ことができるということは、 「問題解決ができる」ということ

困難があっても、自分で道を切り開いていくためには、自分 の意見・考えを持つことは大切ですね。


日本では、反対意見を言いにくい雰囲気がありません か?

特に、立場が上の人に対しては意見を言いづらい。

場の雰囲気を壊さないた めに、嫌われないために、意見を言わない、というのは残念です。


反論は人格否定ではあ りません

する ほうも、されるほうも、これを意識することが大切ではないでしょうか。

アイデアを磨くために批判を繰り返し、それに 耐えぬいた打たれ強いアイデアは、きっと大きな結果に変わります。


本『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業 』には他にも、
  • 自分の意見を作るステップ
  • 「よい質問」のポイント、12か条
  • 意見を交換する14のルール
などあり、とても勉強になります。


もう、「それでいいです」「特にありません」な んていう、「ないのと同じな発言」とはサヨナラです。


あなたはどう思いますか?

  


2013年5月21日火曜日

メールも上司もいらない!? 未来の企業のための新ルール15

メール? 上司? そんなものはもういらない。社員同士でボーナスを出し合い、経営方針に同意 できないなら投資はお断り。従来のやり方にとらわれずに、新たなアイデンティティを確立している企業が増えている。そんな15の会社が考える21世紀の企 業の新しいテーゼとは。

TEXT BY TOM CHESHIRE, DAVID ROWAN, STEPHEN ARMSTRONG, MADHUMITA VENKATARAMANAN, JAMES VINCENT AND GREG WILLIAMS
PHOTOGRAPHS BY NICK WILSON
TRANSLATION BY CHIEKO TAMAKAWA, SATOSHI KATAGIRI


1.自然と共生する

SELGAS CANO|セルガス・カーノ
マドリード近郊の森の中にあるこの建築事務所では、スタッフ自らがデザインしたガラス張りの部屋で働 いている。冷暖房はないが、半地下構造になっているの で、冬は暖かく夏は涼しい。無駄な照明も使わない。チューブ状の建物の片端を開けると空調も可能で心地いい。

共同設 立者のルシーア・カーノは、「物置小屋のような空間に閉じ込められると、創造力がそがれると思うかもしれませんが、自然の光を浴びながら雨や植物を 眺め、四季の移り変わりを感じることは、仕事においてもいい影響を与えてくれます。わたしたちは、人生の多くを働くことに費やします。ここで過ごすことに よって、人生をより謳歌することができるのです」と語る。

この建物は、会社のトレードマークにもなっている。最近手 がけたコロンビアのカルタヘナ市の会議場は、この事務所に使用されたのと同じ合成樹脂のプレキシ ガラスを形成する技術を用いて建設された。(SA)


2.上司がいない

VALVE SOFTWARE|ヴァルヴ・ソフトウェア
ソフトウェアとゲームの開発を行うヴァルヴ・ソフトウェアには1996年の創業以来、 上司がいない。新規雇用規約書にはこう記されている。「フラットな会社構造は組織のバリアをなくし、自分の仕事とそれを楽しむ顧客との間の垣根を取りはら う」。従業員は自らが選んだプロジェクトを思い通りに進められるし、 製品の発送も3人いればこと足りる。創業者ゲイブ・ニューウェルは従業員1人あたりの収益がグーグルやアップルより高い、と自慢する。(TC)


3. 週4日しか働かない

TREE HOUSE|ツリーハウス
フロリダを拠点とする スタートアップのツリーハウス。このオンラインのテックスクールでは、1万2,000人以上の生徒がコーディングやウェブのデザイン、アプリのつくり方な どを学んでいる。スタッフが働くのは、月曜から木曜まで。全員が週末3日間休むことができる。さらに、2011年の設立時から誰ひ とり辞めることなく働き続けている55人の社員は、年19日の有給休暇と2週間のクリスマス休暇も取ることができる。

「労 働時間が短いぶんの埋め合わせはしません。その代わり、皆とてもよく働いてくれます。わたしたちは、最高の人材を雇っています。ですから決められた時 間のなかで最大限のパフォーマンスをしてくれるのです」。設立者のライアン・カーソンはそう語る。(MV)



4.とにかく素早い

GOVERNMENT DIGITAL SERVICE|ガヴァメント・デジタル・サーヴィス
ロンドンのホルボーンにあるガヴァメント・デジタル・サー ヴィス(GDS)は、イギリス内閣府が主導する「あらゆることをデジタルという視点から再考する」計画の一部を担っている。そのオフィスは、典型的なお役 所とはまったく異なる。例えば、ゆっくり休憩できるラウンジがあったり、服装もカジュアル。開発部門と製造部門は、Googleドキュメントを使って共同 作業をしている。その光景は、公務員のオフィスというよりはまるでスタートアップ企業のよう だ。

「ここのチームは、国家にとって重要なインフラの一部を提供しています」とトム・ルーズモア(写真手前、右側) は話す。2012年10月に誕生したプラットフォーム「GOV.UK」の生みの親だ。このサイトは、それまで公共サーヴィスの情報と、ビジネス情報を提供 していた別のサイトを統合したものだ。税金の支払証明書を購入したり、付加価値税の還元額の計算をする方法を探してみれば、このGOV.UKがいちばん優 れたサイトだということがわかる。

ここでは「素早く」という方針に従ってあらゆる業務が行われる。これは、経験豊富 なソフトウェア開発者17人が考案し、01年に発表された「アジャイルソフトウェア開発宣言」に基づくものだ。そこで重視されているのは、ユーザーに焦点 を絞って、迅速に製品を提供することだ。加えて、ユーザーのフィードバックにも迅速に応じること。そうしながら少しずつ発展していくのだ。

チャ ンネル4(若者向けの公共TV局)のデジタル投資ファンドを仕切っていたルーズモアは言う。「わたしたちは、てきぱきと仕事をする方法を知っています。と いっても、何でも迅速にこなせばいいというわけではありません。できるだけ早くさまざまなコードを書き、試してみるという点で宣言に則っているので す。わたしたちの根本ルールは2つです。今週自分がやった仕事に何か不満をもつこと。そして、それを次週はもっとうまくやること。つまり、過去を振り返っ て学ぶ。わたしの前職では、ごく当たり前にやっていました。しかし、役所の人々にとってはなじみのないことなのです」。GOV.UKの開発責任者サラ・プ ラーグ(写真手前、左側)は言う。

「わたしたちの基本方針は、とにかくユーザーが何を必要としているかに注目するこ とでした。すると、最終的には2,500種類ものニーズがあったのです。 次に考えたのは、これらの要望に応えるためにどうすべきかということです」。想像以上に大きくなってしまったこのプロジェクトを遂行するにあたり、「素早 さ」は欠かせなかった。

プロジェクトに参加したチームは、実験的な試みや職場の刷新を快く受け入れた。そして、取り 組んでいる仕事に応じて、さまざまな分野の訓練を行うチームを自発的に結成。互いのチームが、それぞれの進捗状況や納期について検証できるデータを使いな がら、チームごとの達成度合いを確認できるように工夫した。

副代表エティエンヌ・ポラードは言う。「それができたの も、わたしたちがコマンド・コントロール方式の指揮命令体制を採用しなかったからです。その代わりに、従業員同士のいいコミュニケーションがあったからな のです」。(GW)


5.クライアントの株を買う

KIRSHENBAUM BOND SENECAL|キルシェンバウム・ボンド・セネカル
ニューヨークに本部を置く広告代理店kbs+はクライアントの株 を買い、その株価を会社のロビーにあるディスプレイ画面に表示している。「わたしたちが提案するクリエイティヴなアイデアが、クライアントの株主価値を上 げることにつながります。そのことを忘れないために、こういった試みをしているのです」と 語るのは、CEOのローリー・セネカル。株はバスケット取引で定期的に売られ、配当金は従業員の間で分配されるという。(SA)


6. デザイン・オンデマンド

NORDSTROM|ノードストローム
2011年、高 級百貨店ノードストロームは新しいプロジェクト「フラッシュ・ビルド」を開始した。プログラマーとデザイナーによるチームが、シアトル本店にイノヴェイ ションスペースを設営。買い物に訪れた人がさまざまなブランドのサングラスをかけた自分を写真で比較できるアプリをたった1週間で開発した。そして、実際 に店頭で買い物客がプロトタイプのアプリを使ってみた感想を、その場でアプリに反映できるようにプログラミングした。(JV)


7.カラダを動かす

TECHNOGYM| テクノジム
テクノジム幹部が、アントニオ・チッテリオによりデザインされた北イタリア・チェゼーナのテクノジム“ウェルネス・ヴィ レッジ”でミーティングを開く際、ハーマンミラーのアーロンチェアに座る者はいない。彼らが座るのは高性能バランスボールだ。これはトレーニングマシン開 発会社、テクノジムの創業者兼社長 ネリオ・アレッサンドリが従業員に“ウェルネス”志向を世に広める役割を担ってほしいためであり、社員の健康増進を図るためでもある。

「こ こにはイスの代わりに約800ものバランスボールがあります」とアレッサンドリは敷地面積60,000平方メートルの本社ビルで語る。「すべての社員がこ のバランスボールを使用するわけです。効果効能は医学的に証明されていますよ」。バランスボールの利点は使用者が常に体を動かし続けることにあるとい う。

「バランスボールに座っているとじっとしていることがないので、毎日数時間のトレーニングをするのと同等の効果 が得られます。いつでも体を動かし続けているわけです。神経系にもいい影響があるとみられています」。バランスボールを使用することで、2週間程度で腰痛 がなくなると彼は言う。

テクノジムが“ウェルネス”プログラムに焦点を絞りすぎている、という見方もあるかもしれな い。スタッフは2時間の昼休憩を義務づけられ、休憩中は敷地内ジムの使用を奨められている。社員が普通のイスを使用したい場合はどうすればいいのだろう か?「もちろん構いません」とアレッサンドリは話す。「初めはこういった環境の変化を受け入れられないスタッフもいました。ただ現在では以前の職場環境に 戻りたくない、というスタッフが多いようですね」。(DR)


8.社内の知恵を生かす

IBM| アイ・ビー・エム
43万3,000人の従業員を抱えるIBMにとって、「アジリティ(機敏な対応)」は生命線だ。そこで社内では、 昼食を交えた研修の場「ランチ&ラーン」や、世界各地の従業員を突然招集し大規模なオンライン会議を行う「イノヴェイション・ジャム」を開催して いる。ソーシャルビジネスとコラボレーション部門担当のエド・ブリルは、その目的をこう話す。「昼食会や会議では、従業員は社内のあらゆる地位の人と交流 できます。ですからみんな、真っ先に自分に必要な知識をもっている人に話しかけます」。ブリルは商品開発においても社内の知恵を活用している。社員から自 社製品に対する声を吸い上げ、消費者の要望をあぶり出して新製品開発やリニューアル時に生かすのだ。(SA)


9. 長い目で見る

UNILEVER|ユニリーバ
2010年11月、ユニリーバの CEOポール・ポルマンが株主への挑戦状ともとれるような声明を発表した。「弊社の長期的な視点と方針にご賛同いただけるならば投資してください。そうで ないのであれば、心からの敬意をこめて、わが社への投資をお断りします」。

(この長期的な戦略によって)ユニリーバ が四半期ごとの業績予想を発表しなくなったことは、従来の決算報告が短期的な資産価値の増減で判断するものでしかなかったと彼らが考えていることを意味す る。ユニリーバは決算報告を半年に一度のペースで行うようにし、以来、同社は広く関心を集めている。12年4月、同社はオープンなデジタルプラットフォー ムを立ち上げ、外部の専門家を招いて持続可能なテクノロジーの開発に関する助言を求めた。「節水や節電を謳ったところで、実際に消費者の行動を変えること は難しいものです」とオープンイノヴェイション・ポートフォリオ・スカウト部長のロジャー・リーチは話す。「だからこそ、われわれは社外にもクリエイティ ヴな人材を求めることにしました」。加えてポルマンは「課題があるとき、政府を頼りにするか、もしくは自らが立ち上がって問題に取り組むかは、企業自身が 社会にどんな役割を果たしたいのかによって決めるべきです」と言う。

指導の立場を逆転させる試みも始めた。若手の社 員が幹部に対し、最新技術を使いこなせるよう教育するのである。自社製品も、学術的研究を土台にした小規模会社のアイデアを取り入れることで充実させた。

こ の間の業績をみると、この新しい方針の結果は概ね好調だ。12年度のFTSE株価指数も8%の上昇をみせ、製品イノヴェイションによる収益も過去2年間で 全収益の30%に貢献している。(SA)


10.体験を共有する

HONEY CLUB|ハニー・クラブ
ハニー・クラブは、ブランドコンサルタントのウルフ・オリンズ社とその戦略担当のエレーナ・フォード (写真左)が共同設立したソーシャルビジネスだ。目的はキングズ・クロス地区のネットワークを「養蜂」を通して結びつけること。そこで行われているのは、 ハチミツの生産を中心とした実験的な取り組みの数々。 例えば、参加者は家や社屋の屋根に巣を取り付けて地元産のハチミツを採取したり、それを地域のレストランで商品展示したり試食会を行ったりする。

国 際鉄道ユーロスターもこの取り組みに参加し、各駅にミツバチの巣を取り付けた。そこで働くレズリー・レタラックは、「ハチミツを通して人々のつながりを築 くことは素敵なことだと思います。地元の人々のコミュニケーションを生み出しているのです」と話す。

ウルフ・オリン ズ社にとって、このプロジェクトは人材募集の手段にもなっているという。「おかげで、会社のイメージアップになりました。人々は、自分でソーシャルビジネ スを始められそうな会社に集まってきます。わたしたちは、会社にふさわしい才能をもつ人々を引きつけているのです」とフォードは述べ た。(GW)


11.データからいい上司をつくる

Google| グーグル
データがすべてのグーグル。管理職の改善方法もこの巨大リサーチ会社ならではのものだった。

シ リコンヴァレーのマウンテンヴューにあるグーグル本社は、データがものをいう会社だ。そこでは、当然ながら従業員の行動もデータ化されている。2009 年初頭に、グーグルの人材養成担当チームは「オキシゲン・プロジェクト」を開始した。その目的は、完璧な上司を構成する要素を特定することだった。「わた したちのゴールは、管理職の質をよくすることでした。そこで、その方法を管理職の人々にデータで示したのです」。チーム責任者のミッシェル・ドノヴァンは そう語る。

ドノヴァンは、まるで科学論文を書くようにそのプロジェクトを進めた。まず彼女のチームは、従業員に管理 職の人たちを評価してもらう調査を行うと同時に、毎年の管理職部門賞受賞者を分析した。それから、調査で最高と評価された人物と、最悪と評価された人物の 違いを知るために、両者にインタヴューを行った。 また、誰がいちばん生産的な仕事をしたかを調べるために回帰分析を行った。すると、その分析から明白な結果が導き出された。「みんなが素晴らしい管理職と 認める8つの行動(オキシゲン・エイト)がわかったのです」とドノヴァンは言う。8つの行動は、ごく当たり前のことだ。1.よい指導者でいること。2.細 かいところまで口出ししないこと。3.従業員の幸せに関心があると態度で示すこと。4.生産的で結果志向であること。5.チームの話に耳を傾けること。 6.従業員のキャリア開発を支援すること。7.明確なヴィジョンをもつこと。8.最低限の専門的技術を身につけていること、だ。

驚 くべきは、従業員たちが高く評価した管理職の資質だ。技術的な専門知識は、項目のなかで最も評価が低かった。調査の結果、グーグルにおいて管理職にふさわ しいのは、部下と個人的に対面する時間をもち、彼らの生活ぶりについてきちんと聞いてくれる人だということがわかったのだ。

こ のプロジェクトは現在、実際にグーグルの体制に組み込まれている。特定の資質で低い評価を受けた管理職者は、コーチングのコースを取ることができる。また 各チームの部下たちも上司に対して評価をし、管理職者はその結果の報告を半年ごとに受けるようになっている。「『オキシゲン・エイト』は、わが社の精神文 化の一部になっています」とドノヴァンは語った。(MV)


12.接客をネットワーク化 する

’S BAGGERS|ズバガーズ
ドイツのニュルンベルクにあるレストラ ン、ズバガーズのオーナー、ミヒャエル・マックは経営にデジタルツールを活用している。食事の注文はタッチスクリーンで受け、キッチンから延びるすべり台 から料理が運ばれてくる。食事代は自動引き落としで支払うことができる。「うちではこの方法を使用することで1年あたり25万ユーロを節約できますし、お 客さまも気楽に食事を楽しむことができます」とマックは話している。「注文はインターネットともリンクしていますから、レストランに来てくれたお客さまが 1日に90くらい『いいね!』を付けてくれますよ」。この「いいね!」が口コミの役割を果たし、デジタルを生かした 経営がいい循環を生んでいるのだ。(SA)


13.ちゃんと食べる

THE CHEMISTRY GROUP|ケミストリー・グループ
バークシャー州にあるネオン色で彩られたケミストリー・グループのオ フィスに、板張りのキッチン・ダイニングエリアと新鮮な健康野菜で埋め尽くされた冷蔵庫が最近増設された。「食生活は人の感情、行動、仕事のすべての面に 影響を与えます」とケミストリーのCEOロジャー・フィルビーは話す。

フィルビーは2003年に人材派遣会社ケミス トリーを設立し、09年、人材サーヴィスに特化した経営コンサルタント会社として事業を再構築した。その経緯を彼は「乗客に酸素注入マスクを取り付けるに は、乗務員がまず、その装着方法を知らなければ、ですよね」と言う。

11年11月、コンサルタントの年次報告を分析 していたところ、フィルビーはあることに気がついた。「会社の資金供給が年度初めは順調に伸び、年度半ばでピークに達してから徐々に後退していることを知 りました。そこで、わたしたちは日ごとの社員意識を調査することにしました」。

会社の「改善大使」ロレイン・メイク ピース(写真右端)の協力により、問題の根底にあるのは疲労であることが判明した。「1年の経過とともに社員は疲労が増していたようです」とフィルビーは 振り返る。そこで、彼はある計画を思いついた。まず有給休暇を増やし、社員がしっかり休みを取っていることを確認した。それから栄養士のレズリー・マクラ クランを雇い、ケミストリー・グループの全スタッフに話を聞いた。その結果、マクラクランは誰も健康な食事をとっていないことを知り、会社はオフィスの食 堂を全面的に改善することにした。次にマクラクランは健康で安価な食事のつくり方を教え、専用のレシピブックをつくる手伝いをした。フィルビーはイギリス のテレビ番組「ComeDine with Me(出演者が互いに料理をつくり採点する)」にならい、毎週月曜日、社員2人が組んで料理を披露する栄養評価グループを立案した。

「わ たしたちは社員の食育のために毎日約1,200ポンドの投資をしています」とメイクピースは語っている。「今日のランチメニューはケイジャンスパイスの鶏 肉ブラウン・トルティーヤ包みとサラダ、ハマス、ピタパンでした」。

「わが社の食に対する見方は一新されました。社 員は体重が減り、運動をするようになりました。結果、わたしたちのパフォーマンスと顧客対応は劇的に改善されました」。さらに驚くべきは、栄養促進プログ ラムの発足以来、会社の受注額が200万ポンドから400万ポンドへと跳ね上がったことだ。「会社の収益率を社員の栄養管理報告書で予測できるようになっ たのです」とフィルビーは話す。

フィルビーは栄養摂取以外の社員の動機づけにも注目している。「四半期に一度、自由 時間を金曜日に設けています」。昨年は各自が750ポンドを受け取り、 女性社員は買い物に出かけ、男性社員はレーシングカーの運転を楽しんでいたようである。

「なかには、わたしの方針が 間違っていると言う人もいますが、こういった取り組みの見返りは測ることができません。われわれの唯一の資源はヒューマンリソースなわけですか ら」。(MV)


14.社員同士でボーナスを出し合う

ZAPPOS| ザッポス
アメリカを拠点とするオンラインショップ、ザッポスでは、従業員が同僚や部下にボーナスを授与することができる。「この制 度によって、すべてのスタッフが与えられた以上の仕事をするようになりました。それに、監督者がひとりしかいなければ、すべての従業員の働きを把握するの はとうてい無理ですから」。こう説明するクリスティン・ケラーは、ザッポスの「債務担当部長」だ。ボーナスは現金か、もしくは「ゾラー(Zollar)」 と呼ばれる社内専用通貨で授与される。ゾラーは、ザッポスのオリジナル商品や映画のチケットなどと引き換えることができる。ゾラーをもらった場合でも、会 社が支援しているチャリティ団体に寄付するのであれば現金と交換することも可能だ。(MV)


15. メールをやめてSNS

LOCKHEED MARTIN|ロッキード・マーティン
ロッ キード・マーティンの従業員は、職場でSNSを活用することを奨励されている。

しかし使っているのは FacebookやTwitter、LinkedInなどではない。「ユリイカ・ストリーム(Eurek Stream)」という独自の社内専用ミニブログサイトだ。プロジェクト・ディレクターのショーン・ダーレンは次のように言う。「Facebookで行わ れているユーザー同士の交流をわたしたちもやりたかったのです。いまでは、3万人もの従業員が240文字以内のコメントを通じてつながっています」。

ダー レンのチームは、2年かけてこのオープンソースのネットワークを構築し、2012年1月に社内で公開した。ユーザーは、仕事の進捗を投稿したり、お互いの 意見にコメントすることができる。また専門のグループをつくり、それをフォローしたり、メンバーに質問をしたりすることも、自分でディスカッションのペー ジを開設することも可能だ。「毎日約1万人が利用しています。そのうち20%ぐらいが、サイト上で議論をしています」とダーレンは説明する。

従 業員の参加率がかなり高いので、各部門内ではソーシャルネットワークがIT電話に代わる役割を果たすようになった。また予想外の効果として、経営管理部門 と他部門の間で、毎日コミュニケーションを取れる場ができた。実際に、経営管理部門の副部長をしているリンダ・グッデンもユリイカ・ストリームに参加し、 自分が会ったクライアントやこれからの行事の情報を書き込むなどして定期的にステイタスを更新している。また、従業員に対して個別にお祝いのメッセージを 送ったりもしている。「自宅にいても、クライアントと会っているときでも、チームの活動をストリームで確認してすぐに対応できます。メンバーみんながス レッドを見ることができるので、メールよりずっと機能的で効率的です」と話すダーレン。

13年にはユリイカ・スト リームのモバイル版を公開するそうだ。彼らには、もうメールは必要ないのだろう。(MV)




ももクロ成功の秘訣 優れたITサービスは、先駆者のコピー&クローン?


「ももいろクローバーZ オフィシャルサイト」より
現 在のソーシャル × モバイル化へと続くWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界の
現在のソーシャル × モバイル化へと続くWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めているシリアルアントレプレナー・小 川浩氏。『ソーシャルメディアマーケティング』『ネットベンチャーで生きていく君へ』などの著書もある“ヴィジョナリー”小川氏が、IT、ベンチャー、そ してビジネスの“Real”をお届けする。

『コピーキャット: 模倣者こそがイノベーションを起こす』(オーデッド シェンカー/東洋経済新報社)というビジネス書が話題になっている。

 内容は、ある意味当たり前のことを言ってい る。良いビジネス書とは、当たり前のことをそうでないように書いた本のことだ。その意味で、この本は成功している。

  本書が説くところを簡単に書くと、ゼロから革新的な何かを生み出す(イノベーション)と、それを行う人や企業(=イノベーター)の成功確率は実は驚くほど 低く、参入市場において大きな果実を手にすることができるのは、優れたアイデアのコピー(イミテーション)を作り、より的確なクローン製品に仕上げる模倣 者(コピーキャット)のほうであるという内容だ。一言でいうなら、換骨奪胎こそビジネスの要諦だということだ。

 も ちろん、ただ真似ればいいという粗悪なコピーを量産しても駄目だ。クローン技術が理論的には可能でも、本来のDNAが持つ資質や能力、健康状態や寿命など を完璧に再現することが難しいように、実は誰かのアイデアを細密にコピーすることは非常に難しい。

 このビジネス書 では、イモネーター(イミテーションをする人という意味のイミテーターとイノベーターを掛け合わせた造語)を目指せと言う。タイトルであるコピーキャット とは、日本語で言えば猿真似と訳せるかもしれないが、同じく相当に嘲りを込めた言葉だ。タイトルをイモネーターとせずにセンセーショナルなコピーキャット としたところは、ややあざといかもしれない。

 イモネーターは誰かが考えたアイデアをパクリ、その後でさまざまな工 夫を加え、余計なモノは削り、磨きをかけていく。ある意味オリジナルより良いモノでなければならない。オリジナルのアイデアや製品に付け足すだけでなく、 削らなければならない。単にコピーすればいいというものではないのである。

 僕は前回のコラムで、「ハイコンセプト は斬新でなければならない、ということはない。流行廃りはあるし、タイミングというものもある。例えば、古い例で恐縮だが『ジョーズ』は人食いザメがリ ゾート地を恐怖に陥れるというスリラーだが、その後人食い熊がキャンプ地を恐怖に陥れる映画『グリズリー』が登場し、それなりに受けた。『グリズリー』の ハイコンセプトは、“熊版のジョーズ”になる。つまり、市場がある、観客が喜ぶと実証されたハイコンセプトを真似る、クローン映画はある程度の売上の計算 が成り立つわけだ」と書いた。つまり『グリズリー』は良いクローンだったが、その他のまがい物は単なるフェイクだったわけだ。

● ネット業界でもクローンは良い事業モデル

 ネット業界では、優れたクローンがたくさんある。ヤフオクはeBayのク ローンだし、AndroidとGoogle PlayはiPhoneとApp Storeのクローンだ。GREEだってモバゲーの優れたクローンと言える。良いアイデアを発見し、そのクローンをつくることは良い事業モデルであり、何 も恥じることのない真っ当なやり方だ(真似られたほうは気分が悪いかもしれないが)。

 ドイツのロケットインター ネットという会社は、世界中の新興企業や新サービスをウォッチして、良いと思ったら即座にクローンをつくり、そのクローン企業をオリジナル企業に売るとい う事業をやって大成功している(そのかわり訴訟リスクを常に抱えているが)。日本のスタートアップ(ベンチャー企業)だって、コイニーはスクエアのクロー ンだし、僕のリボルバーもBackplane(レディー・ガガのLittleMonstersを運営)のクローンであると言えないことはない。

  僕が思うに、今一番わかりやすいクローンは、ももいろクローバーZかもしれない。彼女たちはそもそもはAKB48のコピーとして、「会いにいけるアイド ル」というハイコンセプトから、「週末ヒロイン」=週末だけ会いにいけるアイドルというハイコンセプトをひねり出した。その後、よりカジュアルでよりアニ メ的、非常に早いテンポで転調する楽曲と切れのいいアクロバティックなダンスを組み合わせることで、本家を凌ぐ人気を手に入れた。彼女たちはAKBのコ ピーキャットから始めて、オリジナルがなんであるかを忘れるくらい“転調”を繰り返した結果、もはや自身がオリジナルであると言っていいポジションを得た のである。

 粗悪コピーをつくるのは簡単だが、本物以上のクローンをつくるのは技術がいる。そして、その技術に加え て何度でもコピーを重ねて練度と鮮度を高めていくための情熱がなければ、最高のクローンはつくれない。

 スタートアップを起こす際にも、誰もいない市場を狙うよりは、誰かが切り拓いてくれた市場を探し、その市場の先駆者(オリジナル)を超えるクローンをつ くることが最良の選択肢かもしれない。市場のパイオニアとは、最初に進出した者ではなく、最初に成功した者にこそ与えられる称号だ。そして、同時に消費者 の記憶とは、常に上書きされるものなのである。
(文=小川浩/シリアルアントレプレナー)


●小川浩(おがわ・ひろ) 
シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使 える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。


2013年2月6日水曜日

JAL、国内線で iPhoneアプリ『Passbook』が利用可能に!

JALこと日本航空株式会社が、国内線で iPhoneアプリ『Passbook』が利用できるようになったと発 表しています。   昨年10月のANAに続いて、これで主要航空会社2社がPassbook対応したことになりますね。
» JAL - iPhoneのアプリケーション「Passbook」が国内線の搭乗にご利用いただけます! 参考URL » ANA国内線におけるApple 「Passbook」アプリケーション対応について|プレスリリース|企業情報|ANA

TSUTAYA、 iPhoneがTカードになる携帯会員証サービス

レンタルDVD/CDなどで知られるTSUTAYAが、携帯会員証サービスにiPhoneを追加したと発表し ています。(via. CNET JapanTSUTAYAで使える携帯会員証誕生 - T-SITE
該当店舗のセルフレジでスマホ・携帯電話がTカードとして 利用可能です。』とのことで、登録は上記サイトから。但し、利用可能店舗は現在下記のお店のみとのこと。
  • TSUTAYA 祐天寺店
  • TSUTAYA 福岡天神
  • TSUTAYA あべの橋店
  • TSUTAYA 天神駅前福岡ビル店
  • TSUTAYA 梅田堂山店
  • 代官山 蔦屋書店(新規)
  • TSUTAYA 恵比寿ガーデンプレイス店(2 月13日予定)
これは普及が待ち遠しいサービスですね。

Kindle Fire 向け仮想通貨 Amazon Coin 発表、米国で5月から開始



米 Amazon.com が、独自タブレット Kindle Fire 用の仮想通貨 Amazon Coins を発表しました。Amazon Coins は、Kindle Fire でアプリやゲーム、アプリ内アイテムの購入に使える仮想通貨。米国では5月のサービス開始とともに、Kindle Fire ユーザーに数千万ドル分の「アマゾンコイン」を無料で配布します。


アマゾンは以前から決済に使えるポイントサービスを提供していますが、Amazon Coins は Kindle Fire で、アプリやアプリ内アイテム決済にのみ使える点が異なります。

Kindle Fire はAndroid OSをベースとしてアプリも互換性があるものの、ストアは Google が運営するGoogle Play ではなく独自の Amazon Appstore for Android を載せているなど、プラットフォームとしてはいわゆる「Android陣営」ではない独自のエコシステムに属しています。Amazon Coins はそのアマゾン独自 Kindle Fire エコシステムの仮想通貨という位置づけ。

アマゾンとしてはクレジットカードなどで実際のドルを扱う際の面倒を減らしつつ、アプリ内購入など小額決済の敷居を下げ、より柔軟にエコシステムを操れる手段になります。

ユーザーから見た扱いはクレジットカードなどと変わらず、コインで購入可能なアイテムについては決済手段として選べる仕組み。開発者にとっては、ユーザーがコインで買ってもクレジットカードで買っても、従来と同じく売上の70%がアマゾンから支払われます。「コイン払いだったのでお支払いもコインで」と言われる心配はありません。

Amazon Coins の価値は1コイン≒1セント。米国では5月の開始と同時に、Kindle Fire ユーザーに「数千万ドル分」のコインが無料で配布される予定です。

2012年12月6日木曜日

普通の人であることの大切さ――プロが陥りがちな直観のワナ

想いをつなぐ編集力

普通の人であることの大切さ――プロが陥りがちな直観のワナ

前回の「表現者の才能 について考える」では、どんな人が突出した表現者になりうるのか? という話を書きました。 今回は、類まれなる表現者である糸井重里さんのスピーチから話をはじめてみたいと思います。 「普通の人以上に普通のことを考えられる」 先日、糸井さんは東京コピーライターズクラブでスピーチをされました(関 連サイト)。その時の様子を引用します。
やればやるほど、普通の人になっていく。 それがコピーライターという職業じゃないかな、とこの頃思うようになった。 (中略) 普通の人以上に普通のことを考えられる。 今日いただいたホールオブフェイムは普通の人の証。 これをもってさらに磨きをかけた取り柄のない人になっていこうと思う。
いやあ、深いですね。 糸井さんはどう考えても普通の人ではないわけです。でも普通の人になっていくんだとおっしゃいます。結果についての説明でもあり、決意表明でもあ りそうです。これは、どういうことなんでしょうか? コピーライターというのは、商品とかお店とかブランドに、いい言葉をつけて消費者に届ける仕事です。それには「普通の人」の生活から、時代の流れ をとらえて、言葉に紡ぐ必要があります。だから「普通」を強く意識する必要があります。 こうやって書くと当たり前に見えますが、これはなかなか難しいことなのです。 表現をする仕事でやりがちな失敗として、「周囲のプロ」に向けて仕事をしてしまうということがあります。「周囲のプロ」の代表が自分自身だったり もするので、さらにややこしくなります。わかりやすいコード進行でポップな名曲をつくっていたミュージシャンが、やけに複雑な曲をつくりはじめたりとか、 そういうこと、よくありますよね。 ■羽生三冠はなぜ素人のような手を指すのか? もうひとり、普通でない人の話をしましょう。 ぼくは将棋の羽生善治さんの大ファンで、羽生さんがプロになってから指した将棋はほとんど全部、将棋盤かモニタ上で再現しています。羽生さんの指 し手はいつも驚きに満ち溢れているのですが、ときどき「素人のような手」を指すことがあります。 たとえば、うまく使えなくなっている相手の飛車を取るために、大事な金や銀を打つ、といった手です。初心者がやりがちな手ですが、上達してくる と、効率を重視してやらなくなります。しかし羽生さんは、あえてこういう指し方をすることがあります。 なぜそんな指し方をするのかというと、ぱっと見はよくないけど、よく考えて先の先まで読むとそれが一番いいからです。ただ、これは普通のプロには 気づきにくい手だったりします。一見すると「素人のような手」だから、考えるべき手として浮かんでこないためです。 ひとはものごとに上達してくると、考えを省略できるようになっていきます。「こういうときはこう」「ああきたらこう」というふうに、経験を通じて 学習して、無駄なことを考える必要がなくなります。素人のときには余計なことまで考えて、うまくできなかったことが、なにも考えずに上手にできるようにな るのです。 上達というのはそういうものなのですが、同時に「普通の人の考え方」を忘れてしまいやすくなります。だから羽生さんの指す「一見素人のような手」 が、他のプロには見えなくなってしまうということが起こります。羽生さんはそれが起こらないように、普通の感覚を意識して大事にしているのだと思います。 そろそろまとめましょう。 プロは、技が研ぎ澄まされる代わりに、視野が狭くなりがちです。でも、ものづくりは普通の人が相手なので、意識して、視野を広げなくてはなりませ ん。 視野を広げるためには、普通の人の気持ちに立ち返ることが必要です。
普通の人であることの大切さ――プロが陥りがちな直観のワナ
「これ、そもそもなんのためにやってるんだっけ?」 「高校生のころの自分ならどう思うかな?」 「母親はどう思うだろう?」 「中学生の自分なら?」 といった、原点に立ち返る問いは「普通の人」の気持ちになるために有効です。 そして、大事なのは、普通であり続けることを「覚悟する」ことではないかと思います。「プロの技」に安住するのは簡単ですが、どんどん狭い道に迷 い込んでしまいます。糸井さんのスピーチの「磨きをかけた取り柄のない人になっていこう」という言葉には、自分の感覚を更新し続ける覚悟が込められている と思います。

想いをつなぐ編集力 表現者の才能について考える

想いをつなぐ編集力

表現者の才能について考える

前回は「成果を出して いる人が共通してやっていること」について書きました。自分や自分の周りの人に当てはめて考えていただいた人が多かったようですが、みなさんの日 常の仕事で参考になれば幸いです。 ■表現者の才能とは? さて今回は、「才能」について考えてみたいと思います。才能にもいろいろあるわけですが、ぼくら編集者が気になるのは、表現者の才能です。はたし てどんなひとが表現者として才能があって、それが結果として表に出てくるのでしょうか? 講談社から独立してクリエイターのエージェント会社「コルク」を立ち上げた佐渡島庸平さんは、インタビュー(関連リンク)でこんなことを言っていま す。
佐渡島 僕が考える作家の定義は「心を微分して表現できる人」なんです。
人間の微細な心の動きを見つけて、それを表現する事ができる人が作家であるといった意味です。上のインタビュー記事で『宇宙兄弟』の小山宙哉さん に子どもが生まれた時のエピソードがとてもわかりやすいので、ぜひ読んでみてください。 ぼくも以前、この連載で「世界を見つめる解像度」とい う話を書きました。世界を見つめる解像度が高い人は、ネタ切れをせずに、いろんな深い考察を生み出し続けることができるという話です。 このふたつの話、ちょっと似ています。おそらく、解像度の高い目を、人の内面に向けることができるひとが作家であり、外側に向けることが得意なひ とがコラムや評論を書くことに向いているのではないかと思います。 書かれたものが説得力を持つのは、みんなが見ている風景のなかに人と違うものを見出し、そしてそれが共感を得る時です。クリエイターの才能というのは、 そういうことなのだと思います。 また、同じインタビューで、佐渡島さんが作家が伸びていくのに必要なものとしてあげているのが「素直さ」です。努力を続けていくためには、素直さ が必要だというのです。ひとが成長していくためには、自分を常に修正していく必要があります。成長するというのは自分を変えるということであり、本質的に 愉快なことではありませんから、自分や周囲の人を信じる素直さが必要なのです。 ■才能を開花させるのに必要なもの もう少し考えてみましょう。ぼくがめぐりあった才能ある表現者に共通しているものが、あといくつかあります。 ひとつめは「ギラギラしたマインド」です。この部分、ひとによって少しづつ違っているので一言で言うのが難しいのですが、すぐれたクリエイターや後にそ うなる人は、人としてのエネルギーレベルが高いと思います。 エネルギーを発する根拠はひとによって異なっていて、漠然とエネルギーが出るひともいるでしょうし、愛や承認がほしくてやっているひと、お金や地位が欲 しくてやっている人、いろんなひとがいます。見た目の話ではなくて、精神がなんとなくギラギラしている、そういう人を見ると「おお、クリエイターがい る!」とぼくは思います。 もうひとつは「強い心」です。ものづくりというのは、いままで世の中になかったものをつくるので、自分に対する信頼が必要です。だれでも最初はびくびく しながら、ものをつくります。でも彼らはちゃんとつくり終えて、それを人に見せるということをします。これには強い心があってできることなのです。 また、普通の人は、人に見せる前の「自分の目」の段階でつまづいてしまいがちです。どういうことかというと、何かをつくっている段階で、うまくできない ダメな自分に耐えられなくなって、途中でやめてしまうのです。最初は誰でも初心者なので当たり前ですが、自分の至らなさに直面したままで、つくり続けるに はかなりの勇気が必要です。すぐれたクリエイターは、この段階を耐えてやり遂げる心の強さを持っています。 もちろん「表現する技術」も必要です。ただし、これはあとからでも身につけられます。文章力、画力、構成力、演出力といったものは、才能もありますが技 術が大きな割合を占めているので、後からの努力で身に付けることが可能だと思います。
表現者の才能について考える
まとめましょう。 世界を見つめる微細な目を持って、強い心を持って、素直に努力して、燃えたぎるマインドを持っている人。こんな人が、すぐれたクリエイターになる 可能性があります。 そして、すぐれたクリエイターが、相性のいい、すぐれた編集者(プロデューサー)と巡りあうと、すごい力を発揮するのではないかと思います。この ようにしてできた幸せな作品が世の中にはたくさんあると思いますが、そのあたりはまたいずれ書きます。

週4時間の労働で結果を出し続ける男 ティム・フェリスの仕事術

121128_TimFerris_01.jpg 敏腕クリエイターやビジネスマンに学ぶ仕事術シリーズ、第16弾です。今回は、米でベストセラーとなった『The 4-Hour Workweek』や『The 4-Hour Body』の著者、ティム・フェリス (Tim Ferriss)の登場です。 『The 4-Hour Workweek』では、いわゆる9時~5時の生活をやめて、本当に好きなことをする 時間をつくる方法を書き、『The 4-Hour Body』では、ほんの少しの運動で劇的に肉体改造する方法を世に 広めたフェリス氏。後者では、方法を研究しながら28日間で34ポンド(約15キロ)もの筋肉をつけたというのが話題になりました。また、「Facebook」や「Twitter」、「StumbleUpon」、「Uber」、「Evernote」など、多くのベンチャー企業の立ち上げの際に、エンジェルインベスターや顧問として名を連ねています。 最新刊『The 4-Hour Chef』では、「学習速度を上げるために、見たこともないような料理本を書くことにした」と書いているように、短時間で効率よくあらゆることを達成するのに長けているフェリス氏。一体どんなアプリやガジェットを 使っているのか探ってみました。
  • 氏名:ティム・フェリス(Tim Ferriss)
  • 職業:人間モルモット作家。 『The 4-Hour Workweek』などの著者で、最新作は前述の『The 4-Hour Chef』。自分では最高傑作だと思っているのに、Amazon参加の出版レーベル「Amazon Publishing」の本なので、アメリカ最大の書店チェーン「バーンズ&ノーブル」にボイコットされている
  • 居住地:米カリフォルニ ア州サンフランシスコ。本の出版直前は、ロサンゼルスのスタンダードダウンタウンホテルか、ニューヨークのノーマッドホテル
  • 現在のコン ピューター:MacBook Air
  • 現在のモバイル端末:iPhone 5。海外での休暇中に使えないからという理由でVerizon社と契約
  • 仕事スタイル:ベーシック
「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは何ですか?
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フェ リス氏のコーヒーテーブル
フェリス:ここ最近の本2冊を執筆する時に使ったScrivenerと いうワープロソフトです。Wordと違って、5分おきにクラッシュしたりしないし、1つのウィンドウで一度に複数のドキュメントを見ることもできます。必 要最小限の機能だけどすごくいいです。 それから『Evernote』。 検索したり、後で読みたいページを保存したり、家の中の書類を整理したり、覚えておきたいワインのラベルを入れたい、何にでも使っています。 Aerobie社にいるスタンフォード大のエンジニアがデザインした、コーヒー&エスプレッソメーカーの「AeroPressは、 パーフェクトなコーヒーが簡単に淹れられる。12グラムのコーヒーに、華氏175〜180度のお湯を200ml入れると完ぺき。手入れするのも本当に2秒 しかかからないし。 カーサービスの「Uber」には何度 助けられたか分からないし、生活全般の雑用を頼める「TaskRabbit」のおかげで週に10時間は時間を節約できていると思う。
仕事場の配置はどのようになっていますか?
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上 の画像がフェリス氏の自宅の仕事場です。机の上には「リスクを冒さないと見返りはこない。成功するまで失敗から学べ。単純なことだ。」 という格言があります。
フェリス:場所によってかなり違います。家では、スタンディングデスクと、隣にある温室のような"Aeron"という 場所を行ったり来たりしています。(上の画像がAeron)外にいる時は、レストランのバーカウンターを、スタンディングデスクみたいに 使って仕事をするのが好きです。 どこにいても、ヘッドホンをしてMacBook Airで音楽を聞きながら仕事をします。午後5時を過ぎると、時々赤ワインなんか を飲みながらすることもあるけどね。
仕事中は何を聴いていますか?
Pandora」 でFederico Aubeleを 聴くか、『The 4-Hour Chef』の執筆中に作ったプレイリストを聴いています。好きな曲が、29曲あるんです。Eric B. & Rakimで始まって、締めはElvis。
時間節約のためのショートカットやライフハックで、ベストなものを教えてください。
フェリス:仕事中にSNSのサイトを見ないように「RescueTime」を使っていま す。それから、朝一番に90~120分かけてメールをチェックします。一番大事な仕事1つか2つに集中するようにしています。Gmailでメールを処理す るのに時間がかかりそうなら、「The Email Game」を使えば半分の時間で済むようになりますよ。
愛用のToDoリストマネージャーは何ですか?
フェリス:僕は古い人間なので、追加できるToDoの数を決めて、 ポストイットかインデックスカードにメモをしています。そうは言っても、長い本を執筆している時は(『The 4-Hour Chef 』は250ページ以上カットしても672ページの本になりました)、時に正気を失いそうになります。"プロ"というカテゴリーのフォルダのスクリーン ショット(以下の画像)を見るだけでも、頭が痛くなります。 121128_TimFerris_04.jpg
スマートフォンとコンピューター以外で「これは必須」というガジェットはありますか?
フェリス:ノースカロライナ州の「B. Goode handmade knife」のナイフは、何にでも使えて便利です。同じようなモノなら、「ESEE-3」は手軽に買えると思います。
日常のことで「これは他の人よりうまい」ということは何ですか?
フェリス:はっきり「ノー」と言うことかな。僕は「やらないこと」 リストを作っていて、「やること(ToDo)」リストよりも、そっちを守る方が仕事がはかどります。 あとは、イェルバ・マテ茶を大量に飲むこと。Cruz de MaltaのCon Paloならなお良し。締め切り前に、夜10時〜朝5時までぶっ続けで書き続けている時にすごくいい。 夜更かしのお供は、映画『カジノ・ロワイヤル』と『ショーン・オブ・ザ・デッド』。何度も繰り返し見てる。
今までにもらったベストアドバイスは?
フェリス:あなたは長い時間をともに過ごしている5人の平均だ121128_TimFerris_05.jpg上の画像は、フェリス氏の机の上にあったもの。左上から時計回りに、CIAからの贈り物、日本の僧侶からの贈り物、お気に入りの言葉。
その他、ライフハッカーの読者に共有したいことなど、何かあればお願いします。
フェリス:
  • ケーキはデンタルフロスで切ると一番速く切れる。
  • 多くの優秀なシェフが使っているタオルは、5ドルの青い外科手術用の 糸くずのでないタオル。
  • 鳥の巣は食べなくていいけど、カリフラワーのクリームブリュレは絶対に食べた方がいい。
  • ナイ フの使い方を知りたかったら、高価なナイフは必要はない。12ドルの「Rada Cutlery Chefs Dicer」で十分。
  • 真空調理と魚について勉強すれば、ホテルお風呂の浴槽でもミシュランの2つ星のレストランレベルの食事は作れる。
Tessa Miller(原文/訳:的野裕子)

2012年12月4日火曜日

良品計画 1回のメール配信で売り上げ数千万アップの驚異(後編)

1回のメール配信で売り上げ数千万アップの驚異

良品計画のWebサイト『MUJI.net』の秘密を聞く(前編)

『無印良品』の名で知られる株式会社良品計画は、1980年の誕生以来、シンプルで、しかし必要な機能は省くことなく付加された商品を提供してきた。そ の商品カテゴリーは、衣類、食品、小物、雑貨、家具、家に至るまで多岐にわたる。 そしてそれらを販売する店舗も、2012年2月末日現在、国内は372店舗、海外での展開は『MUJI』のブランドで、中国の38店舗を筆頭に、アジ ア、ヨーロッパ、アメリカなど、全163店舗を展開している。
奥谷孝司Web事業部長 (撮影:琴條孝詩)
 そして、リアル店舗への集客、最近の言葉で言うとO2O(オンライン・トゥー・オフライン)を推し進め、また同時に力を入れているのがWebサイトだ。 リアル店舗同様に日々顧客が訪れるWebサイトもまた、顧客満足度を高めていくため、常に試行錯誤を繰り返している。今回、そのサイト『MUJI.net』を運営しているWeb事業部長の 奥谷孝司氏に最新Web技術の動向を含め話を聞いた。

実店舗に呼び込むクーポン戦略

「最近は顧客セグメントツールなど、いろいろなツールがあるので、さまざまなテストが簡単にできます。私たちの場合、ネットと店舗を行き来してほしいとい うこともあって、まず会員に向けてのメールマーケティングに挑戦しました。 というのもメールを出して『店舗に来てください』と書いても、そう簡単にはいらっしゃらないわけです。であれば、バーコードを付与した電子クーポンを 送って、店舗で実際のクーポン発券機でクーポンを発券してもらう。 最初は1都3県の人にメールしました。店舗は池袋西武です。それで来店されたのが2%弱。7割が東京の人。でも池袋西武はやはり埼玉からいらっしゃる方 が多いというのがわかりました。 加えて、やはり主要顧客は30代ですが、普通の客層、いつものレジから見えているお客さまと比べ、意外と20代、40代が多いとか、男性より圧倒的に女 性が多いとか、だからネット経由で男性を増やさないといけない、という課題もみえてきたのです」 このような結果を店舗に伝えることによって、いままでわからなかったメール・キャンペーンなどの効果が可視化されたという。Webチームが意味のあるこ とをやっているという彼らの存在意義さえ実店舗のスタッフに伝えることができたのだった。 「効果があったと印象に残っているのは、くじ引きをやったときです。これは22店舗を対象に北海道から都心、大阪、福岡のエリアの人だけにバーコードをつ けて、はずれなしで、ランダムに120万人にメールで送りました。 普通は120万人に“5%OFF”のクーポンを送ると、だいたい2000人から2500人くらいしか来店されないのですが、“はずれなし”でやったら1 万1千人来店されたのです。120万人のうちの1万1千人だから約1%の人が実際にいらしてます。 メールの有効期限は通常3日間と言われていますが、私たちの場合もそうで、ここで約半数の人が来店しています。そしてクーポン期限の最後に盛り上がって 終わるといった感じです。この“はずれなしのくじ引き”は、弊社の商品をお渡ししているので、商品原価のみ。それで1万人以上の方々が来店されたのです。 最近のツールは細かなことまでわかるのでおもしろいですよ。たとえば、札幌の事例ですが、メール送信の承諾を受けているのが約5万人です。それだけしか いない。しかし、圧倒的にこの手のクーポン施策へのリアクションが高いんです。 そういう結果もわかるので、それを社内で見せると、初めて地方のエリアマネージャーたちが会員獲得の重要性を見出すわけです。いままでは会員と言って も、無印良品メンバーに10%OFF価格で商品を提供する“無印良品週間”のときだけ、メールで見たと言うのみで、そのほかのときはいくらメールを出して も『メール見ました』とは言わないわけです。だからメールを送る意味があるのかどうか、わからなかったのです。 しかし前述のようにセグメント化することによって、たとえば九州のお客さまだけにメールを出すこともできるようになりました。これは一見簡単そうです が、実はちゃんとしたツールがないとできなかったんですよね。それができるようになった意味は大きいですね」 彼らWeb事業部の目的は、原則的に店舗への送客だ。通常そのためにおこなわれることはチラシの配布や広告宣伝となるが、それに代わる送客手段として、 Webやメールがある。 「たとえば1万人の送客を目的に外部バナー広告を打つとします。そのとき一人あたりの広告単価CPAが1000円だとすると100万円では足りないわけで すよね。1000万円。そう考えると、1万人のお客さまがいらっしゃるのに商品代金ですむのであればCPA(成果1件あたりのコスト)は格安です。そんな に安い広告はないので、成果としては大きいのではないでしょうか。 もちろんその後店舗でほかの商品を購入したのか、お茶だけをもらって帰ったのかはわかりません。しかし、たとえば割引クーポンの場合で言えば、メールを 出して、実際に来店してクーポンを発券し、そのうち7割くらいの人がそのクーポンを使用して商品を購入しています。通常120万人にメールして2500名 くらい来店するので1700名ほどの人が、商品を購入するわけです。 通常、私たちの店舗の平均購買単価は2千円ほどですが、ときには2〜3倍も購入するような人が多くいて、期間中の売り上げが大幅に伸びるということもあ ります。ITでこれほどの実績を上げることができるのです」

ネットストアに呼び込むメール戦略

店舗への送客に実績を上げている顧客セグメントツールではあるが、彼らの仕事としては、実店舗のみならず、ネットストアへの送客も必要だ。この部分につ いては、どのような戦略で臨んでいるのだろうか。 「先ほどお話ししたとおり、現状、私たちは会員の属性によってセグメント化し、いろいろな商品を訴求することができます。たとえば以前『アロマオイルを訴 求しましょう』と、アロマディフュザーをネットで購入した人たちに対して、アロマオイルをお勧めしてみたのです。 すると、やはりアロマディフューザーを購入した方にアロマオイルをお勧めすると、ある程度の人が購入した。そして購入率がわかりました。しかし、彼女た ちがアロマオイルだけを買ったとは言えませんから、本当の効果まではわかりません。そのメールを見てネットストアに行って、なにかほかのものを購入してい るかもしれないのです。 また、ソファを購入した人にもソファカバーを訴求してみようとやったことがあります。このときは母数が少ししかありませんでしたが、一応メールを送って みました。結果、数人しか買いませんでした。とても非効率なメールですが、単価は高かったのです。 ただ、こういった購入商品の履歴からのアプローチは、弊社のような比較的購買頻度が低いところでは、あまり意味がないような気もしています。 たとえば、現在、ある人物像を想定したマーケティング、ペルソナ分析をしてるんですが、ほとんど効果がないのです。いくら小さいお子さんがいらっしゃる 主婦の方を分析しても、もちろん数年間はずっと子ども用品と自分の婦人ものを購入するのですが、無印良品はなんでも売っているので季節要因のほうが強過ぎ るんですね。 あるときベッドを買って、次はお菓子。そして、冬が近づくとコタツを買うんです。一応購買傾向からペルソナを設定できるのですが、こうなるとペルソナが わからない。ですから弊社の場合、ペルソナ間を移動するのが良いお客さんだということになってしまうのです。 一回購入したからといって購買記録に基づいてメール販促をしても直接的な効果はわからない。しかし毎週メールを送れば、年間52週で、どこかのタイミン グでお客さまが購入するかもしれないので、一応直近のデータを元にして、お勧めしてみよう、もしかしたらドンピシャのものがくるかもしれないね、と……。 ですから毎週、一応購買履歴に応じたメールを送信して、ファインチューニングをやり、ちょっとずつですけど売り上げもあがってきています。やはりメール マーケティングは、地味ですけども、まだまだ最大のネットへの流入経路なので、最適化する必要があるのです」
MUJI.netのWebサイト

メールマーケティングの極意

巷間O2Oが言われているが、これは90年代の終わりに言われた“クリック&モルタル”の焼き直しである。やっていることは同じ。いかにネットからリア ルの店舗に客を呼び込むかという方法論だ。 しかし、ネットストアへの集客を考えるとオンライン上でやるほうが、物理的な移動が伴わない分、簡単ではある。ただ、漠然とメール告知をおこなったりバ ナー広告を貼るだけで集客できるほど甘くはない。 「まず私たちがおこなったのが、未購買フォローメールです。これは、ネットメンバーに登録したお客さまが3日間なにも買うことなく動きがなかったら、自動 的にメールを送りましょうというものです。 それをやってみて驚いたのが、訴求グループと非訴求グループで圧倒的に違ったのです。訴求すると0.5%程度のレベルで購買が上がったんですね。で、単 価にしても訴求せずにいたお客さんと比べて、0.5%程度上がった。これは良い施策だということがわかったのです。 地味ではありますが効果があるので自動化プログラムを組みました。毎日会員登録される新会員に対して、3日後には自動的にメールが送信されます。『ご登 録ありがとうございました』という言葉とともに、商品の紹介などをする。そうすると少しずつなにかしら売れていく。 これがたまっていくと、たとえば月の売り上げの2%ぐらいは未購買フォローからのものになるんですね。これは地味ですが、けっこう効いてます。これも最 新のマーケティングツールが出てきたのでできることなのですが。 その他、最近は検証がすぐにできるので、いろいろとやっています。先ほどの未購買フォローメールも3日後、1週間後など全部テストしてみました。もちろ ん、タイミングが遅くなればなるほど効かなくなってきます。 メールのタイトルも『お知らせ』というのがいいのか、『いまならお得』のほうがいいのか、など、すべて反応を見ながら変えていき、最終的にいまのカタチ に最適化さています」 無印良品のネットストア『MUJI.net』の会員は350万人という。そのうちメール送信の許諾を得ているのが約半数だそうだ。毎週170万人の顧客 にさまざまなタイプのメールを送信し、その都度効果を確認して、フィードバックしている。そして精度も上がっていく。 「次に始めたのは“お誕生日メール”です。会員登録の際、いろんな個人情報をいただくのですが、いままでなにもしてこなかったのです。ですからお誕生日を 登録してくれたら、お誕生日月に当時300円のクーポンを送りますと告知しました。いまは500円のクーポンです。 そうすると毎月だいたい15〜6万人の該当者がいるので、その人たちにメールを送ってあげる。『8月のお誕生日なのでクーポンをどうぞ。クーポンは1か 月間有効です。お好きなものをお買いください』というふうに。これが非常に効率の良いセグメンテーション・プロモーションとなっていて、毎月、平均すると 3%の人がクーポンを使用し、2000万から2500万円ぐらいの売り上げになるんです。 リターンがものすごくいいですよね。それでもこのメールがきたら、平均して3%の人がサイトにいらっしゃって購入していくわけです。平均単価はクーポン を使用する分、若干下がって1万円くらいですが効果があるので、これも自動化して毎月送信しています。 ただ昨年、お客様ごとに配送料無料にできるシステムができあがったので、ちょっと実験してみようと特典を送料無料に変更しました。そうしたらこれが誕生 日のインセンティブとしてはイマイチで……普通に購入して送料が無料というだけではまったく魅力を感じていただけなかった。 私たちとしてはふだん送料をいただいているので、送料無料は魅力的だろうと思っていたのですが、お客さまにとってはまったくそういうことはなく、誕生日 のインセンティブとしては向かないことがわかりましたのですぐに元に戻しました」

顧客分析での売り上げが躍進!

最新のツールでは、もちろんRFM分析もおこなえるという。RFM分析とは、顧客のRecency(リセンシー)=最新購買日、Frequency(フ リークエンシー)=購買頻度、Monetary(マネタリー)=購買金額を分析して、自社にとっての優良顧客を見つけていくという手法である。奥谷氏も当 然それらを使って顧客の分析をおこなっている。 「私たちはRFM分析によって、購買回数に応じて半年に1回プレミアムクーポンというものを発行しました。10回以上買った顧客には1000円分のクーポ ンを提供する。4〜5回は500円、3回の人は300円というふうにしてクーポンを発行するんです。 このようなパターンを実験としていろいろとやってみたのです。たとえば母集団を3つにわける。母集団Aは10回以上購入した集団。彼らには2000円の クーポンを発行する。母集団Bは6〜9回の人で1500円のクーポン。それ以下は1000円、もしくは500円のクーポンを発行するグループを作るなどし てさまざまにテストをしてみたわけです。 その結果、売り上げとしてはけっこうな金額になっていて、購買率は7.6%、購買金額は月額売上の3〜4%になりました。客単価は下がりましたが、売り 上げとしては大きなものです。 いまは、1000円、500円、300円というふうに決めてやってます。というのもテストの結果、もっとも効率がよさそうな集団が見えてきたのです。 10回以上買うスーパーロイヤルユーザーに2000円のクーポンを発行すると利用率はものすごく高いのですが、逆にROI(投資回収率)が低くなってし まい、効率が悪い。そうやってテストを進めていくと、あるグループに500円のクーポンを発行すると9.8%使用してくれて、もっとも効率がいいことがわ かったのです。 ですから500円を標準偏差にして、1000円と300円でいこうと。弊社の場合、売り上げに対してクーポン比率が10%超えると、ちょっと高すぎる。 最近は収益へのインパクトがあるので、8%ぐらいに抑えようとしています。しかし、半年に1回やるだけで、月の売上の3〜4%が取れるので、非常に効率が いいわけです」 その効果には目を見張るものがある。しかしそれは、販売できる良質な商品と、メールを受信してくれる170万人の顧客がいるから達成できることでもあ る。また、それだけ多くの登録ユーザーがいるからこそ、さまざまなテストを実施して効果を最適化できるのである。
<後半に続く>

良品計画のWebサイト『MUJI.net』の秘密を聞く(前編)

1回のメール配信で売り上げ数千万アップの驚異

良品計画のWebサイト『MUJI.net』の秘密を聞く(前編)

『無印良品』の名で知られる株式会社良品計画は、1980年の誕生以来、シンプルで、しかし必要な機能は省くことなく付加された商品を提供してきた。そ の商品カテゴリーは、衣類、食品、小物、雑貨、家具、家に至るまで多岐にわたる。 そしてそれらを販売する店舗も、2012年2月末日現在、国内は372店舗、海外での展開は『MUJI』のブランドで、中国の38店舗を筆頭に、アジ ア、ヨーロッパ、アメリカなど、全163店舗を展開している。
奥谷孝司Web事業部長 (撮影:琴條孝詩)
 そして、リアル店舗への集客、最近の言葉で言うとO2O(オンライン・トゥー・オフライン)を推し進め、また同時に力を入れているのがWebサイトだ。 リアル店舗同様に日々顧客が訪れるWebサイトもまた、顧客満足度を高めていくため、常に試行錯誤を繰り返している。今回、そのサイト『MUJI.net』を運営しているWeb事業部長の 奥谷孝司氏に最新Web技術の動向を含め話を聞いた。

実店舗に呼び込むクーポン戦略

「最近は顧客セグメントツールなど、いろいろなツールがあるので、さまざまなテストが簡単にできます。私たちの場合、ネットと店舗を行き来してほしいとい うこともあって、まず会員に向けてのメールマーケティングに挑戦しました。 というのもメールを出して『店舗に来てください』と書いても、そう簡単にはいらっしゃらないわけです。であれば、バーコードを付与した電子クーポンを 送って、店舗で実際のクーポン発券機でクーポンを発券してもらう。 最初は1都3県の人にメールしました。店舗は池袋西武です。それで来店されたのが2%弱。7割が東京の人。でも池袋西武はやはり埼玉からいらっしゃる方 が多いというのがわかりました。 加えて、やはり主要顧客は30代ですが、普通の客層、いつものレジから見えているお客さまと比べ、意外と20代、40代が多いとか、男性より圧倒的に女 性が多いとか、だからネット経由で男性を増やさないといけない、という課題もみえてきたのです」 このような結果を店舗に伝えることによって、いままでわからなかったメール・キャンペーンなどの効果が可視化されたという。Webチームが意味のあるこ とをやっているという彼らの存在意義さえ実店舗のスタッフに伝えることができたのだった。 「効果があったと印象に残っているのは、くじ引きをやったときです。これは22店舗を対象に北海道から都心、大阪、福岡のエリアの人だけにバーコードをつ けて、はずれなしで、ランダムに120万人にメールで送りました。 普通は120万人に“5%OFF”のクーポンを送ると、だいたい2000人から2500人くらいしか来店されないのですが、“はずれなし”でやったら1 万1千人来店されたのです。120万人のうちの1万1千人だから約1%の人が実際にいらしてます。 メールの有効期限は通常3日間と言われていますが、私たちの場合もそうで、ここで約半数の人が来店しています。そしてクーポン期限の最後に盛り上がって 終わるといった感じです。この“はずれなしのくじ引き”は、弊社の商品をお渡ししているので、商品原価のみ。それで1万人以上の方々が来店されたのです。 最近のツールは細かなことまでわかるのでおもしろいですよ。たとえば、札幌の事例ですが、メール送信の承諾を受けているのが約5万人です。それだけしか いない。しかし、圧倒的にこの手のクーポン施策へのリアクションが高いんです。 そういう結果もわかるので、それを社内で見せると、初めて地方のエリアマネージャーたちが会員獲得の重要性を見出すわけです。いままでは会員と言って も、無印良品メンバーに10%OFF価格で商品を提供する“無印良品週間”のときだけ、メールで見たと言うのみで、そのほかのときはいくらメールを出して も『メール見ました』とは言わないわけです。だからメールを送る意味があるのかどうか、わからなかったのです。 しかし前述のようにセグメント化することによって、たとえば九州のお客さまだけにメールを出すこともできるようになりました。これは一見簡単そうです が、実はちゃんとしたツールがないとできなかったんですよね。それができるようになった意味は大きいですね」 彼らWeb事業部の目的は、原則的に店舗への送客だ。通常そのためにおこなわれることはチラシの配布や広告宣伝となるが、それに代わる送客手段として、 Webやメールがある。 「たとえば1万人の送客を目的に外部バナー広告を打つとします。そのとき一人あたりの広告単価CPAが1000円だとすると100万円では足りないわけで すよね。1000万円。そう考えると、1万人のお客さまがいらっしゃるのに商品代金ですむのであればCPA(成果1件あたりのコスト)は格安です。そんな に安い広告はないので、成果としては大きいのではないでしょうか。 もちろんその後店舗でほかの商品を購入したのか、お茶だけをもらって帰ったのかはわかりません。しかし、たとえば割引クーポンの場合で言えば、メールを 出して、実際に来店してクーポンを発券し、そのうち7割くらいの人がそのクーポンを使用して商品を購入しています。通常120万人にメールして2500名 くらい来店するので1700名ほどの人が、商品を購入するわけです。 通常、私たちの店舗の平均購買単価は2千円ほどですが、ときには2〜3倍も購入するような人が多くいて、期間中の売り上げが大幅に伸びるということもあ ります。ITでこれほどの実績を上げることができるのです」

ネットストアに呼び込むメール戦略

店舗への送客に実績を上げている顧客セグメントツールではあるが、彼らの仕事としては、実店舗のみならず、ネットストアへの送客も必要だ。この部分につ いては、どのような戦略で臨んでいるのだろうか。 「先ほどお話ししたとおり、現状、私たちは会員の属性によってセグメント化し、いろいろな商品を訴求することができます。たとえば以前『アロマオイルを訴 求しましょう』と、アロマディフュザーをネットで購入した人たちに対して、アロマオイルをお勧めしてみたのです。 すると、やはりアロマディフューザーを購入した方にアロマオイルをお勧めすると、ある程度の人が購入した。そして購入率がわかりました。しかし、彼女た ちがアロマオイルだけを買ったとは言えませんから、本当の効果まではわかりません。そのメールを見てネットストアに行って、なにかほかのものを購入してい るかもしれないのです。 また、ソファを購入した人にもソファカバーを訴求してみようとやったことがあります。このときは母数が少ししかありませんでしたが、一応メールを送って みました。結果、数人しか買いませんでした。とても非効率なメールですが、単価は高かったのです。 ただ、こういった購入商品の履歴からのアプローチは、弊社のような比較的購買頻度が低いところでは、あまり意味がないような気もしています。 たとえば、現在、ある人物像を想定したマーケティング、ペルソナ分析をしてるんですが、ほとんど効果がないのです。いくら小さいお子さんがいらっしゃる 主婦の方を分析しても、もちろん数年間はずっと子ども用品と自分の婦人ものを購入するのですが、無印良品はなんでも売っているので季節要因のほうが強過ぎ るんですね。 あるときベッドを買って、次はお菓子。そして、冬が近づくとコタツを買うんです。一応購買傾向からペルソナを設定できるのですが、こうなるとペルソナが わからない。ですから弊社の場合、ペルソナ間を移動するのが良いお客さんだということになってしまうのです。 一回購入したからといって購買記録に基づいてメール販促をしても直接的な効果はわからない。しかし毎週メールを送れば、年間52週で、どこかのタイミン グでお客さまが購入するかもしれないので、一応直近のデータを元にして、お勧めしてみよう、もしかしたらドンピシャのものがくるかもしれないね、と……。 ですから毎週、一応購買履歴に応じたメールを送信して、ファインチューニングをやり、ちょっとずつですけど売り上げもあがってきています。やはりメール マーケティングは、地味ですけども、まだまだ最大のネットへの流入経路なので、最適化する必要があるのです」
MUJI.netのWebサイト

メールマーケティングの極意

巷間O2Oが言われているが、これは90年代の終わりに言われた“クリック&モルタル”の焼き直しである。やっていることは同じ。いかにネットからリア ルの店舗に客を呼び込むかという方法論だ。 しかし、ネットストアへの集客を考えるとオンライン上でやるほうが、物理的な移動が伴わない分、簡単ではある。ただ、漠然とメール告知をおこなったりバ ナー広告を貼るだけで集客できるほど甘くはない。 「まず私たちがおこなったのが、未購買フォローメールです。これは、ネットメンバーに登録したお客さまが3日間なにも買うことなく動きがなかったら、自動 的にメールを送りましょうというものです。 それをやってみて驚いたのが、訴求グループと非訴求グループで圧倒的に違ったのです。訴求すると0.5%程度のレベルで購買が上がったんですね。で、単 価にしても訴求せずにいたお客さんと比べて、0.5%程度上がった。これは良い施策だということがわかったのです。 地味ではありますが効果があるので自動化プログラムを組みました。毎日会員登録される新会員に対して、3日後には自動的にメールが送信されます。『ご登 録ありがとうございました』という言葉とともに、商品の紹介などをする。そうすると少しずつなにかしら売れていく。 これがたまっていくと、たとえば月の売り上げの2%ぐらいは未購買フォローからのものになるんですね。これは地味ですが、けっこう効いてます。これも最 新のマーケティングツールが出てきたのでできることなのですが。 その他、最近は検証がすぐにできるので、いろいろとやっています。先ほどの未購買フォローメールも3日後、1週間後など全部テストしてみました。もちろ ん、タイミングが遅くなればなるほど効かなくなってきます。 メールのタイトルも『お知らせ』というのがいいのか、『いまならお得』のほうがいいのか、など、すべて反応を見ながら変えていき、最終的にいまのカタチ に最適化さています」 無印良品のネットストア『MUJI.net』の会員は350万人という。そのうちメール送信の許諾を得ているのが約半数だそうだ。毎週170万人の顧客 にさまざまなタイプのメールを送信し、その都度効果を確認して、フィードバックしている。そして精度も上がっていく。 「次に始めたのは“お誕生日メール”です。会員登録の際、いろんな個人情報をいただくのですが、いままでなにもしてこなかったのです。ですからお誕生日を 登録してくれたら、お誕生日月に当時300円のクーポンを送りますと告知しました。いまは500円のクーポンです。 そうすると毎月だいたい15〜6万人の該当者がいるので、その人たちにメールを送ってあげる。『8月のお誕生日なのでクーポンをどうぞ。クーポンは1か 月間有効です。お好きなものをお買いください』というふうに。これが非常に効率の良いセグメンテーション・プロモーションとなっていて、毎月、平均すると 3%の人がクーポンを使用し、2000万から2500万円ぐらいの売り上げになるんです。 リターンがものすごくいいですよね。それでもこのメールがきたら、平均して3%の人がサイトにいらっしゃって購入していくわけです。平均単価はクーポン を使用する分、若干下がって1万円くらいですが効果があるので、これも自動化して毎月送信しています。 ただ昨年、お客様ごとに配送料無料にできるシステムができあがったので、ちょっと実験してみようと特典を送料無料に変更しました。そうしたらこれが誕生 日のインセンティブとしてはイマイチで……普通に購入して送料が無料というだけではまったく魅力を感じていただけなかった。 私たちとしてはふだん送料をいただいているので、送料無料は魅力的だろうと思っていたのですが、お客さまにとってはまったくそういうことはなく、誕生日 のインセンティブとしては向かないことがわかりましたのですぐに元に戻しました」

顧客分析での売り上げが躍進!

最新のツールでは、もちろんRFM分析もおこなえるという。RFM分析とは、顧客のRecency(リセンシー)=最新購買日、Frequency(フ リークエンシー)=購買頻度、Monetary(マネタリー)=購買金額を分析して、自社にとっての優良顧客を見つけていくという手法である。奥谷氏も当 然それらを使って顧客の分析をおこなっている。 「私たちはRFM分析によって、購買回数に応じて半年に1回プレミアムクーポンというものを発行しました。10回以上買った顧客には1000円分のクーポ ンを提供する。4〜5回は500円、3回の人は300円というふうにしてクーポンを発行するんです。 このようなパターンを実験としていろいろとやってみたのです。たとえば母集団を3つにわける。母集団Aは10回以上購入した集団。彼らには2000円の クーポンを発行する。母集団Bは6〜9回の人で1500円のクーポン。それ以下は1000円、もしくは500円のクーポンを発行するグループを作るなどし てさまざまにテストをしてみたわけです。 その結果、売り上げとしてはけっこうな金額になっていて、購買率は7.6%、購買金額は月額売上の3〜4%になりました。客単価は下がりましたが、売り 上げとしては大きなものです。 いまは、1000円、500円、300円というふうに決めてやってます。というのもテストの結果、もっとも効率がよさそうな集団が見えてきたのです。 10回以上買うスーパーロイヤルユーザーに2000円のクーポンを発行すると利用率はものすごく高いのですが、逆にROI(投資回収率)が低くなってし まい、効率が悪い。そうやってテストを進めていくと、あるグループに500円のクーポンを発行すると9.8%使用してくれて、もっとも効率がいいことがわ かったのです。 ですから500円を標準偏差にして、1000円と300円でいこうと。弊社の場合、売り上げに対してクーポン比率が10%超えると、ちょっと高すぎる。 最近は収益へのインパクトがあるので、8%ぐらいに抑えようとしています。しかし、半年に1回やるだけで、月の売上の3〜4%が取れるので、非常に効率が いいわけです」 その効果には目を見張るものがある。しかしそれは、販売できる良質な商品と、メールを受信してくれる170万人の顧客がいるから達成できることでもあ る。また、それだけ多くの登録ユーザーがいるからこそ、さまざまなテストを実施して効果を最適化できるのである。
<後半に続く>

2012年11月21日水曜日

ソニーが振り切ったキャンペーン開始

ソニー ェ…「ヘッドホン女子」企画がゆるすぎるwww

イヤホンじゃなくてヘッドホンをしている女の子ってどうですか?ソニーが全国47都道府県 から「ヘッドホン女子」を集めてダンスを踊らせるっていう、振り切ったキャンペーンをやってる模様です。
更新日: 2012年11月16日RSS

ソニーが振り切ったキャンペーン開始
ヘッドホン女子47
ヘッドホンをした47都道府県の女子によるプロジェクト。ネーミングがドストレート。
「47都道府県のヘッドホン女子たちが、ご当地ネタで地元アピールをしながら、アヴリルの曲で踊りまくる」という企画
ダンスの振り付けは、世界的に有名なコレオグラファー(振付師)の仲宗根梨乃さん。
地元アピールの方法は各メンバーが自由に考え、ダンスの撮影も メンバー自身の手で行われた
丸投げ?w
その結果、メンバー間でダンスや地元アピールの質にかなりのバラつきが・・・

とりあえず王道の衣装対決
なるほど中華街といえばチャイナドレスですよねー ちなみに手に持ってるのは中華まん。
着物に丹波ちりめんの髪飾りと、気合入ってる(゚д゚)!
ローカルアイドルらしく手作り感で勝負!w
突っ込みどころ多すぎなロケーション対決
シカの方が気になる。。
これはレベル高い…?美女対決
スタイル抜群のベリーダンス美女♡
振り付け覚えない天然美女♡
道端アンジェリカ似のグラマラス美女♡
ネットでも色んな意味で話題に
厳選公開!ヘッドホン女子47動画