iPhoneでバンド幅を確認する方法とは
幸いにもiPhone 5(iPhone 5cや5sも同様。おそらくほかのiPhoneも同様でしょう)には、現在接続しているBandや利用しているBand幅を確認できる「Field Test」モードが利用できます。特別なアプリは不要で標準の電話アプリから開始できますので、その手順を紹介しましょう。なお、Field Testモードを利用する場合にはWi-Fiをオフにすること。
まずは電話アプリを起動し、ダイヤルモードに。その後「*3001#12345#*」と入力。入力が終わったら、「発信」をタップすることで画面が切り替わります。
「Field Test」モードが起動したら、次は「Serving Cell Info」とタップ。手順はこれだけです。なお、少し分かりにくいですがField Testモードとなるとディスプレイ上部のアンテナピクトが電波強度の数値となります(単位はdBm)。この数値がゼロに近いほど「電波状況がいい」と判 断できるので、この表示だけでも簡易な電界強度ツールになるわけです。
「Serving Cell Info」画面では「Band」を確認できます。「Freq Band Indicator」の横に表示されている数値がそれ。数字の意味を置き換えると以下のようになります。(LTEのみ表記)
- Band1(2.1GHz帯):ドコモ、KDDI、ソフトバンクのLTE
- Band3(1.7GHz帯):ドコモ(東名阪)、イー・アクセスのLTE
- Band8(900MHz帯):ソフトバンクのLTE(来年4月開始予定)
- Band11(1.5GHz帯):KDDIのLTE
- Band18(800MHz帯):KDDIのLTE
- Band19(800MHz帯):ドコモのLTE
- Band21(1.5GHz帯):ドコモのLTE
- Band28(700MHz帯):ドコモ、KDDI、イー・アクセスがLTE予定
- Band41(2.5GHz帯):WCPのAXGP、UQのWiMAX2+
同じ画面のまましばらく待つと、それ以外の情報も表示するようになります。ここで注目なのは「Upload Bandwidth」「Download Bandwidth」の2つ。その横に現在接続中の基地局が何MHz幅のバンド幅を利用しているのかが確認ができます。
測定場所はBand1・15MHz幅の下り最速112.5Mbpsエリア
測定場所にて、iPhone 5のフィールドテストモードを実行してみましょう。
画像を見れば一目瞭然、まず「Freq Band Indicator」の値が「1」と表示しています。これはソフトバンクのBand1(2.1GHz帯)を利用したLTEということです。
そして注目すべきBand幅は、なんとソフトバンクが公式アナウンスをしていない「15MHz」幅と表示していました。もちろんソフトバンクの iPhone 5で初めての「15MHz」表示。つまり、15MHz(5MHz幅 ✕3波)で実現する下り最大112.5Mbps(iPhone 5/5c/5sは下り最大100Mbps)の電波帯を使った超高速エリア化がひそかにスタートしていたのです。
ソフトバンクは9月末に発表した2013年冬春モデルの発表会でも、プラチナバンドLTEのサービス開始前倒しなどは明言していたが、ドコモやKDDIの ようなLTEのさらなる高速化提供開始は公表していません。LTEをさらに高速化するのであればよろこんで発表しそうなものだが、そういったコメントはな いのが現状です。
なお例の超高速エリアで2回ほど速度テストを実施したところ、結果は2回とも下り実測で66Mbps以上の高速通信ができていました。
今回は-90dbm程度と電波状況があまり良くない場所での計測結果でした。次回は-70dbm前後の電波良好な測定ポイントを探し出し、利用者も少なそ うな時間帯を狙うつもりです。理論値の100Mbpsに近い結果とまではいかずとも、せめて10MHz幅の下り最大75Mbpsを超えたスピードを計りた いですね。
いずれにしてもiPhone 5のフィールドテストモードで、ソフトバンク未発表の15MHz幅(Band1)のLTE電波を使っていることを確認できただけでも収穫は大きいと思います(取材は10月中旬、11月6日時点でソフトバンクでは下り最大112.5Mbpsのエリアを発表しました)。
静かに15MHz幅運用開始、その意図は?
さて今回、確認できたLTEの15MHz幅運用。市街地にてそのまま利用できるところから、実験局のようなものではなくサービスインしていると判断してい いでしょう。ただし他社のようにソフトバンクが発表しないところを考えると、LTE Band1の15MHz幅化ができるエリアがかなり限定的な状況だからではないかと推測しています。iPhone 5c/5s発売時に「10MHz幅サービスの倍速LTE工事完了」と発表したことからも、今回の15MHz幅化を発表しないのはソフトバンクの傾向(つま り「一気に展開し、発表時には整備済み」)通り。つまり、地方都市より徐々に15MHz幅でサービス提供し、タイミングを見計らって「さあ、もう高速通信 使えますよ!」と発表する心づもりなのでしょう。なおソフトバンクに確認すると「確かに一部で15MHz化を実験しているのは事実」とコメント。ただ実験 エリアや期間などは明らかにしませんでした。
筆者としては、前述の通り3Gユーザーには十分に配慮してほしいと考えています。というのも、iPhone 4S以前のiPhoneユーザーもまだまだ多く、フィーチャーフォンユーザーは当然ながら3G、SoftBank 4G(AXGP)ユーザーもAXGPエリア外では当然のことながら3G通信を使うからです。つまり、この15MHz幅でのサービスは快適さを提供するもの でありますが、あまり性急にLTEにバンド幅を利用してしまうと、イザというときに3Gが使い物にならずに悪評が広まってしまいかねません。程よいバラン スで、高速化を続けてほしいところですね。
15MHz幅化の技術的な背景
最後に技術的な背景を少し。iPhone 5の3Gは、800MHz/1.7GHz/1.9GHz/2.1GHzに対応しているが、ソフトバンクの3Gは、900MHz/1.5GHzおよび2.1GHzということで、3Gの対応バンドは2.1GHzのみです。ソフトバンクが免許を受けて保有している2.1GHz帯/20MHz幅は、5MHz幅ずつ4波を3GとLTEの各サービスに割り当てて使用しています。で すが、基地局あたりのユーザー数の多い都心部でLTEのサービス帯域を増やして3Gの帯域幅を減らしてしまうと、iPhone 4Sなどの3Gデータ通信のトラフィックがひっ迫してしまう恐れがあります。またLTE対応端末でも現状では音声通話時に3Gに切り替わるため、3G用の 帯域は最低5MHz以上が全国で必要になります。
LTEサービスイン当初は、3Gに3波/15MHz、LTEに1波/5MHzで割り当て、iPhone 5の普及と共に、徐々に10MHzずつに振り替えられる「倍速LTE」としてサービス提供が可能でした。今後、音声通話が減少し、データ通信によるコミュ ニケーション(メール、SNS、LINEなど)へとシフトしている時代背景もあり、LTEへの切り替えは加速する傾向にあるでしょう。
ソフトバンクの2.1GHz帯において、LTEに対応している機種はiPhone 5以降のiPhone、iPad、iPad mini、ウィルコムとイー・モバイルの一部LTE対応端末、そしてこれから発売となる2013年冬2014年春モデルのAndroidスマートフォンで す。実質的には発売開始から1年以上が経過しているiPhone 5が大部分を占めているといって過言ではありません。
夏モデル以前のAndroidスマートフォンでは、TD-LTE互換のSoftBank 4G(子会社WCPのAXGP)による高速データ通信を利用していますが、エリア外では主に2.1GHz帯の3G(ULTRA SPEED)を利用することになります。EMOBILE LTEユーザーも同社LTE/3Gエリア外ではソフトバンクの2.1GHz帯の3Gを2013年7月25日から利用できるようになりました。
LTEユーザーが増加すればその分3Gの帯域が空くため、LTEへの移行も可能となりますが、3Gユーザーが多いエリアで3波のLTEにすると、いわゆる 「パケ詰まり」状態を引き起こしてしまいかねません。当然ながら音声通話用の3G利用もあり、都心のターミナル駅周辺などでは、同時に多くのユーザが通話 でも利用するので、3Gの帯域も確保しなければいけません。つまりLTEの15MHz幅運用を開始するには、絶対的な利用者数が少なく、LTE帯域に変更 しても影響が少ない地方から整備をしていくということになります。
これはNTTドコモにおいても同様です。3GからLTEに帯域を振り替えるタイミングは、都心よりも郊外、郊外よりも地方の方がタイミングは早くなりま す。例えば都心でのBand1の運用は長らく5MHz幅でしたが、徐々に10MHz幅化を進めてきました。一方で四国などではいち早く10MHz化を進め ていたという経緯もあります。
したがって都心部ではなく、今回計測した埼玉県東松山市のような少し都心から離れた郊外から試験的に15MHz化を行い、その影響度なども確認しつつ、エリアを拡大していくものと想定しています(取材は10月中旬、11月6日時点でソフトバンクでは下り最大112.5Mbpsのエリアを発表しました)。
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