あなたの行動が最大でも1m半の誤差で位置情報を記録されるかもしれない。きわめて小さい誤差しかない自動位置情報記録システムをデューク大学が開発した。
想像してみてほしい。あなたの行動が最大でも1m半の誤差で位置情報を記録されるかもしれない。
つまり、もし「Aの現在地:Bショッピングセンター」という時代が終わって、「Aの現在地:BショッピングセンターのC薬局の歯磨き粉売り場の前。こうい うルートを通って、この時間にこういう場所に立ち止まった。いつもは歯磨き粉売り場の前で15秒立ち止まり、香水売り場の前で50秒立ち止まる」という時 代が始まるとしたら、どう思うだろうか?
怖くなるだろうか? これは幻想スリラー作家が勝手に作り出したものではなく、すでに現実のものとなっているシステムで、UnLocという名前のついたひ とつのプログラムだ。「Unsupervised Indoor Localization」(管理されていない屋内の位置情報化)の略称である。
この新しい位置情報記録システムを開発したのは、なんと名門デューク大学だ。 プライヴァシーの観点から非常に侵略的で、普通のジオロケーションとは「逆向き」だ(地図に位置情報を記録するのではなく、位置情報から地図を作成してい く)。彼らはすでにこれをノースカロライナ州のダーラムキャンパスだけでなく、周囲のショッピングセンターやショッピングモールでもテストした。
結果は恐るべきもので、不安にさせられる。プロジェクトの本質は、いまやわたしたちのガジェット一つひとつに搭載されているGPSやジャイロスコープ、加 速度計の限界を超えることにある。ある個人の位置を割り出すだけでなく、なんと、アメリカの科学者たちが「不可視の目印」と名付けたチェックポイントにお いて、こっそりと隠れてチェックインを行うことで機能する。
つまり、携帯電話は、周囲の環境のなかに埋め込まれたこれらのチェックポイントを自動的に見つけだして、想像がつかないほどの正確さでわたしたちが止まったり動いたりするのを逐一特定していく。そして、それまでのチェックインを記録して、整理していく。
「こうした参照ポイントは、例えば、エレヴェーターやエスカレーターのような動きの信号によってアクティヴになります。というのも、スマートフォンはまさ にジャイロスコープや加速度計を用いてそのような動きを割り出すことができるからです。また、参照ポイントは、Wi-Fiや3Gネットワークのカヴァー範 囲の死角に置かれる場合もあります」。デューク大学プラットスクール・オブ・エンジニアリングの情報工学准教授で、UnLocに関する研究チームのリー ダー、ロイ・チョウドフリーはこのように述べている。
システムは非常にインテリジェントだ。というのも、動作させるのに何も予め準備する必要がない。ゼロのデータベースから出発し、わたしたちが動くと、一歩 一歩、電話のもつツールの助けと、息の詰まりそうなほど密な「不可視の目印」のネットワークによって、次第にデータを蓄積して、内部の地図を作成し、精密 な測定を行う。
要するに、これはわたしたちの世界をスケッチする。とりわけ屋内をだ。したがって、広い意味での商業にかかわる世界を描き出していく(買い物だけでなく、 娯楽、コンサート、文化的関心、食の好みなどの消費も)。もちろんこれはソーシャルで共有されて、ほとんどの場合、わたしたちの知らないうちに行われる。
「強みは、システムが反復的なことです。つまり、例えばわたしたちがよく通う建物の中でこれを何度も使うと、学習して時間とともにどんどん正確になってい きます」。このメフィストフェレス的なプロジェクトの研究をしている博士課程の大学院生のひとり、ヘ・ワングは保証する。
彼は特に、バッテリーの持続時間に大きな負担をかけすぎないことを約束している。少なくとも、GPSが稼働しすぎることはない。ジャイロスコープや、加速度計のような活用されていないセンサーを効果的に使用することで、わたしたちのスマートフォンは、最良の友人となる。
販売者は、わたしたちの好みにしたがって、必要なものを見つけるのを誘導し、細かい販売戦略を行えるだろう。要するに、果物売り場をスーパーの入り口に置くことなどは古いマーケティングだ。
この新しいジオロケーションを用いることで、販売者はわたしたちの動きや立ち止まる場所を読み取り、わたしたちの欲しいものを、わたしたちが探している場所で見つけられるようにすることができる。こうして、わたしたちも満足させてくれるだろう。
購入者にもいくらか利点があるだろう。すぐに欲しいものの前に行くことができるし、考えうるあらゆる情報を利用できる。また、チェックインのおかげで、アウトレットではぐれて迷子になっている子どもを見つけることができるだろう。
TEXT BY SIMONE COSIMI
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI
2012年7月31日
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