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2015年10月8日木曜日

“キモい父”が本になった! 娘を持つすべてのお父さんへ、中学生女子が伝えたいこと


父と娘のマジトーク・番外編:“キモい父”が本になった! 娘を持つすべてのお父さんへ、中学生女子が伝えたいこと


昨年秋のコラム「お父さんがキモい理由を説明するね」が126万PV超えの大ヒット。出版社から声がかかり連載が書籍化されました。書籍化を記念して連載復活、父と娘でマジトークを振り返るとともに、娘から世の中のお父さんへのメッセージを贈ります。



皆さんお久しぶりです。「父と娘の週末トーク」と題して連載コラムを書いていました。お読みになった読者の方も多いのではないでしょうか。「あぁ、キモいおっさんが娘に冷たくされていた、あの気持ち悪い記事ね?」と思った方、その通りです、アレです。
連載2回目、2013年11月に掲載されたコラム「お父さんがキモい理由を説明するね」は非常に多くの方に読まれ、2日で100万PV(累計で126万PV)を越えるというヒット記事に。この記事が広まったのがきっかけとなり、出版社から連載の書籍化を打診され、「これもなにかのご縁」ということで、連載をまとめた本『お父さんがキモい理由を説明するね』が4月19日に発売されました。

「キモい父さんが本になったんですよ」と誠編集部に連絡したところ、「それはめでたい! 終了した連載だけど、そういうことなら書籍化記念ということで一回だけ復活させましょうよ。そうですねえ、連載時とは逆に、娘さんにお父さんについて書いてもらうというのはどうですか?」という返事をもらって決まったこの番外編。

そんなわけで今回は、番外編として改めて「父と娘のマジトーク」を娘と振り返ってみます。中学生の娘・サオリ(仮名)にも原稿を書いてもらいましたので、お楽しみに。
ay_nkym01.jpg『お父さんがキモい理由を説明するね』

「キモいお父さん」が書籍になった

父: サオリ、喜べ! お父さんとお前のマジトークが書籍になったぞ。
娘: うーむ、とうとう書籍化されてしまったか……。
父: どうして喜んでくれないの?
娘: いや、あたしとお父さんのくだらない会話が、本になってしまうことが不思議で不思議で(笑)。
父: 何を言う! 父と娘の珠玉の会話だぞ。お父さんだって、他の家庭の父と娘がどんなふうに接しているのか、知りたいもん。くだるか、くだらないかは、我々の決めることじゃない。
娘: それにしてもさ、そもそも何がキッカケで、書籍化って話になったの?
父: 「お父さんがキモい理由を説明するね」って記事が、Business Media 誠で記録を樹立(※)するほど読まれたんだが、それが出版社さんの目に留まったんだ。で、書籍化しませんかってお誘いを受けたの。
※126万9052PV、4261ツイート、2万1000いいね!

娘: 本のプロの人が「これはイケるネタだ!」って感じてくれたんだ。思いもしないことが、世の中に評価されることがあるんだね。
父: 本当だよな。お父さんも、話があったときは「何かの冗談だろ」って思ったくらいだ。人生で一度は自分の書籍を出してみたかったから、そういう意味ではとてもウレシイんだが、まさか処女作がこんなタイトルになろうとは……。
娘: それは自業自得。いまだに、「キモい お父さん」で検索すると、あたしらの記事がびっしりなんでしょ?
父: おうよ。検索順位1位どころか、検索結果ほぼすべてを独占しているぞ。この記録を塗り替えるのは至難の業だ。
娘: 目指す人なんていないってば(笑)。

ay_nkym02.jpg「キモい お父さん」の検索結果を独占

マジトークは、やりたくなかった

父: これまでのマジトークを振り返りたいんだけどさ、最初に誘ったとき、ちょっとイヤそうな素振り見せてたよね?
娘: 正直に言うと、イヤだったよ。
父: どうして?
娘: だって、「お父さんと、いったい何を話すのよ?」ってなるでしょ。学校や部活のことは下校したらお母さんに話すから、べつにそれ以上言うことないんだよね。
父: でも、お父さんは、お前とお母さんの会話は聞いていないじゃないか。
娘: うん、でも面倒くさい。同じ話を2回も繰り返したくないの。
父: お父さんは、学校や勉強のこと、気になるから話しかけるんだけどな。
娘: そりゃ分かるけどさ、ドラマみたいに毎日事件はないよ。フツーに授業受けて、フツーに部活しているだけだから、わざわざ話すほどのこともないでしょ。
父: そのフツーなことでいいから、聞きたいんだってば(笑)。
娘: でも、お父さんは以前よく、「学校はどうだ?」とか、「最近どうだ?」って振ってきたでしょ。あの質問は雑すぎると思わない?
父: そう?

話題を子供に丸投げしないで

ay_nkym03.jpg小学6年生のころの娘。持っているのは自作のなめこイラスト。左のはアッガイなめこ、右のはシャア専用ズゴックなめこ(@ジャブロー)
娘: あたしからしたら、「どうって……なにがよ?」ってなっちゃうし。
父: 質問の意図があいまいすぎる?
娘: うん。話題をこっちに丸投げしないでって思ってた。そういう質問の仕方をするってことは、娘を観察していないって証拠だよ。あたしをよく見ていれば、何に興味があるとか気づくはず。
父: うーむ、それは認める……。サオリのほうから、面白い話をしてほしがっていた部分はあったな。
娘: あたしが好きな柴犬とかなめこ栽培とか、他にも話のキッカケはあるでしょう? そういうところから来ればいいのに。大人の男の人が、女子中学生の立場になって考えるのは難しいかもしれないけど、想像力を使えば不可能ではないでしょ?
父: いや、でもそれは難しいぞ。
娘: お父さんだって、じいちゃんとばあちゃんの子供なんだから、子どもの立場は分かるはず。自分が親からされて嫌なことは、きっとあたしもそうだとは、なんとなくイメージできるでしょ?
父: うーむ、ぐうの音も出ない……。
娘: 要は、もっと工夫をしなさいってこと。押してダメならもっと押せじゃなくて、引くんだよ。拳銃で歯が立たない敵には、ミサイルをぶつけるとか、そういうことね。
父: はい、すみません…。

マジトークで起きた、親子の最大の変化とは

父: しぶしぶではありつつも、マジトークをやってみてどう思った?なにか変化はあった?
娘: うーん……何かが劇的に変わったってことはないね。
父: そうだね、今もお父さんはキモいんでしょ?
娘: あいかわらずキモいよ。
父: じゃあ、マジトークをやる前とやった後では、なにも変わっていない?
娘: そうでもないんだよ、何ていうのかな……心の余裕ができたのが一番の変化。
父: ほほう、どういうこと?
娘: 以前は、あたしもお父さんも、自分のことで一杯一杯だった気がするの。「ねえねえ、サオリターン」、「話しかけないで!触れないで!」、「こっち向いてよぉー」、「きめぇぇぇ」、「ねえってば~」、「まじうぜぇぇぇ」、「父親に向かってその言葉遣いはなんだぁぁ」、「逆ギレかよぉぉ」、みたいなやりとりばっかりだったでしょ?
父: ま、まぁ……否定はしない(笑)。
娘: でも、マジトークをした今なら、どんなことでもお父さんと話せるって思えるよ。
父: それはお父さんもなんだ。肩の力を抜いてしゃべることが、できるようになったよね。
娘: だって、死とか生きる意味とかを真剣に話したんだもん。このこと比べたら、それ以外のことなんて、たいしたことはないよ。

娘を持つ世のお父さんは、○○○に気をつけろ!

娘: これは、お父さんだけじゃなくて、世の中のパパさんたちに言いたいんだけどさ。
父: なになに?
娘: 娘って、自分が父に無条件に愛されているってこと、よーく知ってるんだ。それを利用してくる子もいるから気をつけた方がいいよ。
父: 甘えて、お金を出させるとか、そういうこと?
娘: そう。「あれ買って」っておねだりしたり、「これくらい大目に見てよ」とか。ちょっと甘えれば、父親はデレデレになるんだよ。「娘が話しかけてくれた!」、「俺は頼りにされている!」って舞い上がっちゃダメだよ、逆に娘から急に構ってくるようになったら、ちょっと注意した方がいい。
父: なぜそれをお父さんに言うんだ? 黙っておけば、お父さんからお金を巻き上げられたものを、タネ明かししちゃったじゃないか。
娘: だって、そんなことしたって、あたしのためにならないでしょ。甘えれば欲しいものが手に入るのは、家族同士だから通用するんだよ。そんなことをしたまま社会人になったら苦労するから、本人のためにならないんだよ。
父: 優等生っぽい発言で、面白くない……。
娘: 面白いかどうかの問題じゃないでしょ(笑)。父親は、娘に嫌われることを怖がっちゃダメ。
父: 嫌われてしまうと、この世の終わりかのように悲しむお父さんだっているかもだぞ。
娘: 嫌われるっていっても、一瞬だよ。1週間もしたら、何に腹を立てていたかも覚えていない。親子関係がそんなので壊れることはないんだから、父は娘の機嫌をいちいち気にしなくていいの。厳しくなれないと、娘から下に見られちゃうよ。
父: 覚えておくよ。ありがとう(笑)。

最大の壁は「どうやって始めるか?」

父: メリットは多いマジトークだけど、具体的にどう始めればいいかな? やってみようって思うお父さんの中には、わが子が誘いに乗ってくれるかどうか、不安に思う人もいると思うんだ。
娘: 確かに、いきなり2人きりで話すのは、抵抗あるかもね。
父: だろ? われわれをそのまま真似ることができない親子もいるかもしれない。どうしたらいいかな?
娘: お母さんがいてくれるだけで、娘はずいぶん話しやすいと思う。
父: つまり、2人きりじゃなくて、父と母のセットってことね。
娘: 父と娘でやるのは、3人で話すのに慣れてからのほうがいいよ。
父: 話題は何からはじめるのがいいだろう?
娘: やっぱり、軽めのテーマからでしょ。女子が好きな恋愛系からがいいかな。同級生たちもそうなんだけど、好きな人の話ってすごく盛り上がるんだ。
父: そうなんだ。
娘: 書籍用に、追加でマジトークをしたじゃない? あの中で、父母娘の3人で「彼氏の選び方」っていうのを議論したけど、私はすごく楽しかったし、2人の考え方を知ることができて勉強にもなった。そのテーマなら、「話すことが何もない」ってことにはならないはず。
父: やはり、子供の興味関心から広げていくのがいいんだろうな。
娘: そう、だから親は子供を観察していなくちゃダメだよ。中学生の女子なら、恋愛、ドラマ、アニメ、音楽のどれかだね。どれにも興味のない女の子は、まずいないと思うから。

親子で話し合うなら「キモい理由」から始めよ

父: いよいよ娘と2人きりで話せるまで関係が復活したとして、どのテーマを話すべきかな? お前の経験から、「これはやっとけ」ってテーマを選ぶとしたら、何だ?
娘: そりゃ、「父がキモい理由」で間違いないね。娘に思う存分、なぜ父のことがキモいと思うのかを説明させるの。お父さんは完全に聞き役ね。反論とか言い訳はガマンするんだよ。
父: サオリも、「キモい」がテーマのときはイキイキとしていたもんな……(笑)。
娘: だって、お父さんに思う存分に文句を言えたの、初めてだったんだもん。
父: ガマンさせて済まんかった。
娘: 娘はスッキリできるし、お父さんは新しい事実を知ることができるから、お互いが得るものがあるよ。
父: 「キモい理由」から始めろってことで、ファイナルアンサーだな。

娘から世の中のお父さんたちへメッセージ

父: ところで、サオリから、世の中のお父さんたちに向けたメッセージがあるんだって?
娘: うん、文章にまとめたよ。
父: どれどれ、ぜひ読ませてくれ。

娘を持つすべてのお父さんへ、13歳の女子中学生から贈る言葉

私からのアドバイスは大きく分けて2つあります。

まず一つ目は「かわいがり方」です。自分の娘はかわいくて、かわいくてたまりません。その気持はどの父親だって持っていますが、それを我慢できるかできないかです。かわいがりすぎてもあまり効果はありません。そのかわいがりたい思いを少し我慢して、もう一人の自分が上から見下ろしている感じに工夫すれば、少し日常に変化がくると思います。 もしそれができないのなら、自分の娘は父親からどんどん離れていくでしょう。「押してダメならもっと押せ」というのではなく、「押してダメなら引いてみろ」という違う考えも今後必要になってくると思います。

そして二つ目。娘のかわいさに負けて、甘やかしすぎてはいけません。 つい、ちょっとしたキッカケで「まあ、いっか」という気持ちも出てくると思いますが、そこが落とし穴です。なんでもかんでも買ってあげるのは、娘のためにはなりません。自分の娘だからとことん「ひいき」してやりたい気持ちはあると思うのですが、そういうときに思い出してください。「厳しさ」。 本当にかわいくて大切な自分だけの娘なのですから、厳しさを忘れないでください。もしそれがやりにくいのなら、例えばテストで**点以上とったら○○○を買ってあげる、などと言ってみたらどうですか。子供はそれがほしいがために頑張って勉強します。それができないのなら、あなた(父親)は娘(子)に利用されているまでです。何をするのにも大げさにやる必要などないのです。「ほどほど」にが一番です。 そして、私達のように娘とトークしてみてはいかがですか。「○○○の話をする!!」というのはそこまで決めないで、初めは娘が興味を示すものから! ささいな事も、一回受け入れてあげてください。 父親と娘だけでだと、いきなりすぎるので娘はいやがるでしょう。最初は母親と手を組んで、3人で始めるのがオススメです。ぜひ、試してみてください。(原文ママ)

父: お父さんも、肝に命じておくよ。しかし、あいかわらずマジメな内容で面白味に欠ける(笑)。
娘: だからあたしはマジメだってば!

ay_nkym04.jpg『お父さんがキモい理由を説明するね』
以上で、父と娘のマジトーク「番外編」は終了です。本編を未読の方は、下にあるバックナンバー一覧からどうぞ。世のお父様方はもちろん、これからお父さんになる若い方、子供はすでに成人してしまった子育て終了の方、さらにはお母様方にもおおいに共感いただける内容になっていると自負しています。
書籍『お父さんがキモい理由を説明するね』では、連載した10テーマについてすべて追加でトークを行い、2倍の内容に加筆したほか、妻と父を巻き込んで「正しい彼氏の選び方について」「両親それぞれの人生の後悔について」「家系について」「人生の航海について」「死について」という5テーマについて書き下ろしを追加して収録しました。連載を読んでくださった方にはもっと楽しめる内容に仕上がっていると自負していますので、ぜひ手に取ってみてください。



[父と娘の週末トーク]



















娘と父のマジトーク(その10)「生きる意味を見つけていない大人っているの?」


父と娘の週末トーク・最終回:娘と父のマジトーク(その10)「生きる意味を見つけていない大人っているの?」 

父と娘が1つのテーマに沿ってガチで話し合う本企画。最終回は娘のリクエストで「生きる意味」について。皆さんは誰かに生きる意味を聞かれたら、どのように答えますか?



父と娘が1つのテーマに沿ってガチで話し合う本企画、今回が最終回です。テーマは、娘のリクエストで「人間の生きる意味」について。話が盛り上がりすぎたので、2回に分けてお届けしています(前回を未読の方はこちら)。

「生きる意味」という重いテーマ。ですが、中学生とオッサンという立場を越えて、2人の人間として本音で話し合うことができ、終わった後はお互いが清々しい「言い尽くした感」を味わうことができました。
 今回も、朝のガストで話し合いました。
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このあいだは、サオリが考える「人間の生きる意味」を話してくれたよね。
娘: うん、「自分が、未来の人のための役に立つよう、今をがんばることが私の生きる意味だ」って伝えたよ。
父: これ、お母さんにも教えたんだけどさ、うなってたよ。「普通、中学生の考えつく結論じゃない」ってさ。
娘: 早速だけど、今日はお父さんの意見を聞かせてよ。
父: (30秒ほど考え込んで)お父さんはさ、そもそも人間に生きる意味があるって思うことそのものが違うような気がするんだ。
娘: なんで?
父: もしかしたら、意味なんてないかもしれないって考えてみたことはある?
娘: ……ないなあ。っていうか、意味はあるでしょ。
父: 例えば、アリに生きる意味はある?
娘: アリ? いや、別に……。
父: 昆虫にはない? じゃあ、カエルやヘビは? 鳥や魚は? ライオンやサルはって考えていくと、どう?
娘: うーん、他の動物のエサになるとか? 自然を守るとか?
父: 生態系という大きな枠の中では、食われることが意味かもしれないね。でも、動物本人は、「エサになるのが自分の生きる意味だ」とは思ってないはず。むしろ、生き残るために必死だよね。
娘: じゃあ、どの生き物から生きる意味が発生するんだろ?
父: 人間様になったとたん、生きる意味が与えられて、他の生物には意味がないってのも、おかしな話じゃない?
娘: うーむ。
父: 人間にだけ、高尚な意味があるって考え方が、おこがましいような気がしてる。
娘: でも、人の命は大切だよ。動物とは違うよ。人権とか生命の尊厳とかいろいろあるんじゃ……。
父: それはそうなんだが。サオリやお父さんが死んだところで、家族は悲しむだろうが、世界は何の問題もなく回る。
娘: じゃあ、人間には生きる意味はないって言うの?
父: いや、そうでもないんだ。お父さんが言いたいのは、「意味は誰かから、自動的に与えられるものじゃない」ってことだ。もしも、サンタから「君の生きる意味をあげるよ」ってプレゼントされて、箱の中に自分の生きる意味が書かれた紙切れが入っていたとして……納得できる?
娘: たぶん、できない。
父: 「生涯独身のまま、仏の道を極めることが、サオリさんの生きる意味です」って書かれてたら?
娘: 「勝手に決めないで。私のやりたいことじゃない」って思う。
父: だろ? だから、意味は誰かから与えられるものじゃなくて……。
娘: 自分で見つけるもの?
父: だと思ってる。
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娘: そうだね。
父: たぶん、生きる意味は、人それぞれ違うんだろうな。
娘: 例えば?
父: レスキュー隊員の生きる意味は、災害から人を救うことだったり、災害防止のために活動することだったりするよね。
娘: うん。
父: 自動車のエンジン技師の生きる意味は、人々が行きたい場所へ気軽に行き来できて、かつエコでクリーンな道具を提供することで、便利な世の中を築くことなのかな。
娘: そうやって考えると、人次第で意味はどうとでも変わるよね。
父: つまり、人間の生きる意味は、
  1. そもそもは存在しない(かもしれない)
  2. 人から与えられるものではなく、自分で見つけるもの
  3. 人それぞれで異なる
 といえる。
娘: うーん、だんだん見えてきた気がする。
父: 1~3を見て気づくのは、「意味を見つけるのは、しんどい行為である」ってことだね。だから、中には生きる意味を持っていない大人もいるかもしれない。見つけられないまま一生を終える人も、いるかもしれない。
娘: っていうか、きっといるんだよね? 誰にも言わないだけで。
父: 怖いね。不幸の極みだね。
娘: じゃあ、そろそろ聞かせてよ、お父さんの考える「人間の生きる意味」って何?
父: お父さんはね……「人の役に立つこと」だと思ってる。
娘: うん。(目で「それで?」と促す)
父: 役に立つ領域や方法はなんでもかまわない。自分の持つ知識、知恵、能力を、人の役に立つために使う。使うことで社会に貢献する。どうせなら、より多くの人に、大きな影響を与えられるような役立ち方をしたい。そうできるよう、努力を重ねる。それが人間の生きる意味だと思ってる。
娘: (少し間を置いて)……私のと、似てるね。
父: そうだね。人のためにって部分は、サオリと似てる。でも、サオリは「未来の人のため」って考えている分、お父さんより一歩進んでいる気はしたけど。
娘: エヘヘヘ、私のほうが、すごいってことだ(笑)。
父: あと、お父さんにはもうひとつ生きる意味がある。百聞は一見にしかずだから、このTED動画を観てほしい。
娘: どんな話?
父: ニューヨークのハドソンに飛行機が不時着したときの経験談なんだけど、「死を覚悟したときに心によぎったこと」を5分でスピーチしてる。ここで語られていることも、お父さんのもう1つの生きる意味なんだ。

リック・エリアス:不時着事故から学んだ三つのこと

2009年1月、ニューヨークを流れるハドソン川に不時着した1549便の最前列に座っていたリック・エリアス。不運に見舞われ降下を続ける機体の中で、心をよぎった思いとは。

面倒くさそうなことを、行動できるかどうか

娘: でもさ、意味は与えられるものじゃなく、自分で探すものってことは分かったけど、どうやったら見つかるんだろう? だって、こういうこと、考えている人は世の中にいっぱいいるでしょ?
父: 考えているだけじゃ、見つからないんじゃないかな。
娘: そう? 私はあれこれ考えて、見つけたつもりだけど。
父: 1週間、悩み続けても答えが出ないとき、次の1週間も同じように悩み続ければ、答えは出るかな?
娘: そりゃ、出ないよね。
父: だよね。でも、考えれば答えが出ると信じて、ひたすら考えたり悩むことに時間を費やす人もいる。
娘: でも、考えなくっちゃ、答えは見つからないでしょ。
父: こういうでっかい質問は、1人のちっぽけな脳みそだけで考えたって、見つかりっこないんだよ。
娘: じゃあ、どうすればいいの?
父: もし、1週間考え続けて答えが出なかったら、考えるのをいったんやめたら? 代わりに、1週間調べまくるんだ。本を漁る、ネットで情報を探す、関連したテレビを見る、それを1週間やってみる。
娘: うん。
父: 次の1週間は、調べるのもやめて、人に話を聞きまくる。詳しい大人を探す、イベントに行く、専門家に質問する、自分の考えをぶつけてみる、オススメの本を教えてもらう、まだ知らない情報源を尋ねる、次に会うべき人を紹介してもらう。
娘: 何かしら、行動するんだね。
父: そうやって1週間考え、1週間調べ、1週間人に会うのと、無為に3週間ウダウダ悩み続けるのとでは、まったく違った結果になると思うよ。
娘: お父さん、たまにはいいこと言うね(笑)。
父: やかましいわ。で、その2つの違いは、「面倒くさそうなことを、行動できるかどうか」なんじゃないかな。ちょうどサオリが、担任の先生や塾の先生に質問をぶつけたり、生きる意味をテーマに小説を書いてみたりしたように。
 まとめると、人間の生きる意味は、
  1. そもそもは存在しない(かもしれない)
  2. 人から与えられるものではなく、自分で見つけるもの
  3. 人それぞれで異なる
  4. 行動なくして見つからない
 と言えるかな。
娘: そっか。いつの間にか、私も行動してたんだ。
父: だからこそ、サオリなりの考えが導けたんじゃないの? 自分の娘を媒体上で褒めるのはナンだけど、お前が質問した大人たちより、よっぽど本質を突いているって思ったよ。
娘: 行動するって、大切なんだね。
父: 考えることしかしない人より、考えながら行動できる人の方が、求めているものがはるかに見つかりやすい。でも、行動そのものは面倒だから、ほとんどの人は「ああでもない、こうでもない」って頭の中だけで行ったり来たりするんだろう。
娘: 生きる意味を見つけるって、本当にしんどいね。
父: でもさ、すでに見つけている人たちは、自分の生きる意味を日々意識することはないだろうね。毎日が楽しくて忙しくて、立ち止まってなんかいられないはずだよ。
娘: 頭でっかちな人ほど、ムダに「生きる意味ってなんだ、なんだ」ってなっているのかもね。
父: 生きる意味なんて考えるヒマがないほど、毎日が充実して忙しい状態になりたいもんだ。
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連載終了にあたって

以上を持って、本連載は終了です。ご愛読、ありがとうございました。2013年11月から3カ月にわたってお届けしてきた、父と女子中学生の娘の“わりとガチなトーク”。いかがでしたか?
どんな展開になるか見通しが立たないまま、恐る恐る始めた企画ですが、思いのほか好評価を得られ、ロングラン化しました。
特に11月に公開した「お父さんがキモい理由を説明するね」は、驚くほどのいいね!とツイート数をいただきました。感謝しています。ただ、リロードするたびに跳ね上がる数字を見ては、「オレ=キモいで拡散しちゃってる……誰か止めてえ……」と、嫌な汗を垂れ流していました。
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「年頃の女子は扱いづらい」「何を考えているのかわからない」「どうせ、チャラいことしか頭にない」といった思い込みがある方は、思い切って週末の朝食に誘ってみてはどうでしょう。初めは、「なんの風の吹き回し?」と不信がられるかもしれないですが、おいしい食事とコーヒーを飲んでいると、不思議と「会話でもするか」という雰囲気になります。
ちなみに、食事をしながらゆっくり会話する場所として、個人的にオススメするのは、コメダ珈琲とガスト。
コメダの良さは、
(1)ソファが快適、
(2)BGMが静か、
(3)席と席の間のスペースに余裕があってリラックスできる。
ガストの良さは、
(1)メニューが豊富で安い、
(2)ドリンクバーでおかわり自由、
(3)朝イチは意外に空いているです。




[父と娘の週末トーク]


















娘と父のマジトーク(その9)「スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式辞を見て、生きる意味を考えた」


父と娘の週末トーク:娘と父のマジトーク(その9)「スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式辞を見て、生きる意味を考えた」 

中学生の娘と本気で話し合うシリーズ、今回のテーマは「人間の生きる意味」。娘のリクエストでこのテーマにしたのですが、わが娘ながら、素直にすごいとほめてあげたい考えを持っていたのでした。



父と娘が1つのテーマに沿ってガチで話し合う本企画、残す所あと2回となりました。今回のテーマは、娘のリクエストで「人間の生きる意味」について。
これまでさまざまなテーマで話し合いましたが、今回が最も盛り上がりました。女子中学生らしからぬ若干重た目なテーマですが、今回と最終回の2回にわたりお付き合いください。
 今回は、朝のガストで話し合いました。
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担任の先生の答えは、納得できない

父: 最近「人間の生きる意味」を考えているらしいけど、いつから?
娘: お父さんが『手紙屋 蛍雪篇~私の受験勉強を変えた十通の手紙~』って小説を読ませてくれた辺りだから、去年の夏だね。
父: 今も小説は書いてるの?
娘: もうすぐ二作目を書き終わるところ。三作目は、人間の生きる意味をテーマにするから、2人で話したいなって思ってた。
父: それにしても、重いというか何というか……女子中学生らしくないテーマ設定だな。
娘: 私も、どうしてこのことが気になるのか、よく分からないんだ。
父: 「人間の生きる意味」を考えてみて、何か分かったの?
娘: 考えたけど、行き詰まったから、学校の先生に聞いてみた。先生と各生徒が毎日やりとりする交換日記的なノートがあって、その日の出来事とか、困ったことがあったら書くことになってるのね。そこに、「人間の生きる意味って何ですか?」って書いてみたの。あと、「人間はなぜ死を恐れるのですか?」とも。
父: 担任の先生からは、どんな答えが返ってきた?
娘: 「人間の生きる意味は、人生を楽しむためです」だって。
父: 死のほうは?
娘: 「人間が死を恐れるのは、自分の存在が世界からなくなってしまうからです」だって。
父: そっか……。で、納得できた?
娘: いや、できなかった。理解はできるけど、フツーっていうか、それだけじゃないんじゃないかなって。だから、塾のM先生にも聞いてみたの。

塾の先生の答えも、しっくりこない

父: 塾の先生は、違う視点から意見をくれた?
娘: M先生によれば、「人間が生きている意味を探すため」なんだって。
父: ほほう。
娘: クラス中が、「おおっ」ってどよめいたよ、お父さんはどう思う?
父: なんだか、質問をそのまま返されたようで禅問答みたいだね。面白い考えだとは思うけど、生きている意味を探すのが、生きる意味……でいいのかな。
娘: えー、違うの?
父: お父さんだって、正解は知らないよ(笑)。M先生の言う「意味を探す」ってのは、大切なことと理解できる。でも、探すこと、あるいは見つけることそのものが生きる意味なのかっていうと、なんかしっくりこないな。
娘: 私も、他の生徒も、その場では感激してたんだけどな。
父: じゃあ、M先生の答えには納得できる?
娘: そー言われるとちょっと……。間違ってはいないだろうけど、別の答えもありそうな気がする。
父: お父さんも、そう思うんだ。

我が娘ながら、素直にすごいとほめてあげたい回答

娘: じゃあ、お父さんの考えを教えて。
父: その前に、サオリ自身が導いた考えを聞かせてよ。
娘: えっ! ……い、言わなきゃならない?
父: そりゃそうだよ。自分の考えは、当然あるんだよね? さあ、話してよ。
娘: (ひと呼吸置いて、ゆっくりと)人間はさ、これまで長い歴史があるじゃない? ネアンデルタール人とかがいて、原始時代があって、石器時代とか。日本では縄文、弥生時代があって、飛鳥、奈良時代、平安、鎌倉、室町時代……で、今があるわけでしょ。
父: うん。
娘: 人間が今まで生き残り続けてこられたのは、過去の人たちのおかげなんだよね。戦争や争いは何度もあったけど、仲直りしたり、反省したり、少なくとも絶滅するまでは殺し合わなかった。
父: 戦争はいまだに起きているけど、少なくとも歴史上ではすごく減ったとはいえるよね。
娘: でしょ、今があるのは、祖先の努力の結果なんだよね。
父: 確かに。
娘: だから、私も今の平成の時代じゃなくって、未来の世界の……役に立つっていうか……。
父: 発展とか、貢献?
娘: そう、貢献! 私は、未来に貢献したい。自分が未来の人のための役に立つよう、今を頑張ることが、私の生きる意味なんじゃないかっていう考えにたどり着いたの。
父: うん(目で、「もっと話して」と促す)。
娘: 人間って、歴史上ずっと戦争を繰り返しているでしょ? 戦争をゼロにすることは難しいけど、新しい知識とかアイデアを人に伝えていくことで、戦争を減らせるかもしれないじゃない。
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父: いいね、どんなことができる?
娘: 学んだ知識を本にしたり、スピーチしたりして、戦争をしている人たちの心を変えていけたら、すごいことになると思うんだ。もしも世界で起きている戦争を3分の1に減らせたら、絶対に今よりいい世界になる。
父: うんうん、そうだね。
娘: 国同士の争いって、どっちが悪いのか、そもそもどうして戦っているのか、私もよく分かんない。でも、完全な正義ってないって思ってて、どっちもどっちな気がするんだよ。
父: 戦争って、そんなもんだよね。お互いが、自分こそが正しいって思い込んでるよね。
娘: 人間が争う生き物ってのは本能だし、それはこれからも変えられない。人間は、これからもあちこちでケンカをする。でも常に減らしていく努力はできるし、するべきなんだ。
父: なるほど。
娘: 戦争の直後はきっと食べ物がなくて、建物が壊されて、社会を立て直して行くのが大変。みじめな気持ちになるかもしれない。でも戦争が続いているよりかは、ずっとマシだよ。戦争の話は例えだけど、そういうことができる人間になるために私は勉強するべきなんじゃないかって。
父: ……。
娘: だから、そういう生き方を私はしたいなって……。ねえ、聞いてる?
父: (じーんと感動して)お前、よくそこまで考えたな……。尊敬するよ。
娘: えへへへ、照れるな。
父: てっきり、抽象的な言葉で、自分の幸せだけを言うんじゃないかと予想してたから。
娘: ひどーい。
父: 「自分が幸せになるため」とか「結婚していい奥さんになって、リッチな生活を」みたいな自分本位な希望か、あるいは「毎日を一生懸命生きて、周りの人に感謝するため」みたいな、いいこと言ってるようで、実は中身のない薄っぺらなことを言うんだとばかり。
娘: 私だって、時間かけてこの考えになったんだよ。
父: 利他的かつ、未来思考ってのは、我が娘ながら素直にすごいってほめてあげたい。
娘: 利他的って?
父: 自分の損失を顧みずに、他者の利益を図るような行動のことだよ。

スティーブ・ジョブズの、スタンフォード大学卒業式辞を一緒に見た

父: サオリの考えと、ちょっと関係するかもしれない動画を見てほしい。
娘: どんな?
父: スティーブ・ジョブズっていう人のスピーチなんだけど。
娘: 知ってる! ピクサーを立ち上げたり、iPhoneとかリンゴマークのパソコンを作った人だよね。
父: 2005年にスタンフォード大学の卒業式でやった有名なスピーチで、YouTube上では何千万回も再生されているんだ。
娘: へええ。スタンフォード大学って、超頭がいい人しか行けない世界トップ級の大学なんだよね。
父: そう、じゃあ見てみようか。字幕に追い付けなかったら、所々で再生を止めて、補足説明するね。

スティーブ・ジョブズ スタンフォード大学卒業式辞 日本語字幕版

父: 3つの話のうち、どれが印象的だった?
娘: 「点と点をつなぐ」ってお話。
父: ふむふむ。
娘: 今、私が毎日やってること、学校や部活や塾がほとんどだけど、そこでやってることが、いつどんなときに役に立つか分からないんだよね。
父: 因数分解とか化学式って、一見すると意味ないって思うとき、あるよね。
娘: そうなの。スティーブ・ジョブズは、カリグラフィー……だっけ? を勉強したことが、何年か後にパソコンを作るときに役立ったわけじゃない?
父: うん。
娘: だから私も、自分のしていることを、役に立つかどうかで判断しちゃダメなのかなって。
父: いちいち意味や価値について悩んでも、仕方ないってこと?
娘: うん、クヨクヨ悩んで失敗するのはもったいない。それに、線としてつながらなくても、やったことは経験になるからムダにはならないはず。
父: サオリは今は小説と絵が好きだけど、将来、小説家にも画家にもならないかもしれない。
娘: それでもかまわないよ。だって私は、自分の言葉とか物語を人に伝えて感動してほしいから書いたり、描いてるの。何のためとか、お金になるかもとか、考えたことはない。
父: 現時点で将来を見通して点と点をつなぐことはできないって話だけど、未来が不確かなまま突っ走るのって、精神的にきつくない?
娘: そりゃ、そう感じることもあるよ。でも行動しないと、何も始まらないでしょ。
父: 行動?
娘: 塾の先生に言われた言葉で、「人に差をつけたいなら、人より先に行動しろ」ってのがあるの。
父: へえ。
娘: 期末テストのときとか、普通の人が1週間前から準備するところを、私は2週間前から準備しちゃおうって。先に動けば、その分たくさん行動できるし。
父: なるほど、いい考え方だね。
娘: で、「生きる意味について」のお父さんの考えはまだ?
父: それは、次回話すことにするよ。
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まとめ

娘の要望で決めたテーマだったので何かしら言いたいことをまとめているのだろうとは思っていましたが、意外にしっかりと考えていたようで、驚かされました。私が13歳だったころは、何を考えていただろう……。生きる意味の代わりに、いやらしーいことばかり考えていました(詳細はとても書けません)。まったくもって、赤面モノです。
 次回はついに最終回。引き続き、「人間の生きる意味」について話し合います。




[父と娘の週末トーク]